かぜはくのテイスティングノート いちご味篇
ランゲ・フレイザ/カヴァロット
イタリアのワイン大好きなんだけど、このピエモンテって地区は独特なんだよな。
山深いど田舎なのであまりイタリアらしくないというか……ここで暮らしている人々も職人気質の人が多く、ステレオタイプなイタリアではない。
しかしこのピエモンテという地区は、ワインの世界においてはイタリアワインの王にして王のワインとも呼ばれるバローロや、女王と称されるバルバレスコが生まれるなど素晴らしい産地として一定の評価を得ている。あとは甘口もあれば山の個性たっぷりな白もあったりと、個性的な産地であると言えよう。
イタリアのワイン法は割とガバガバなので品質に直結してないことも多い。だからそれがこのピエモンテの地ではいい意味で作用しており、高品質ワインはDOCG法を守った上で独自性を出して個性だしてきたりとか、土着品種に力を入れて新しい旋風が巻き起こったりとか、古代品種が蘇って歴史の息吹を感じたり出来るすげーことになっている。
で、最近ではイタリアではあまり一般的でない畑や地域区分なんかをエチケットに書いたりして、ワイン法の形骸化……というよりワイン法で表せないような細かい区分を作って、細分化を進めているようだ。
ワイン法ではDOPランゲだけどどこの地区のどの畑、だとか。
今回試してみたのは、自然派農法の作り手、カヴァロットが作るワインで、フレイザという品種を使ったワインだ。
このフレイザというのはイチゴという意味で、それだけ聞くと甘いワインなのかなという感じもしてくる。
しかしバックラベルを見てみるとアルコール度数15%と、めちゃくちゃ高いことが判る。
もうここからして不穏な雰囲気がある。
抜栓してみると、だいたい仰る意味がわかりましたわという感じがした。木苺の香りがする。
グラスに注いでみると色がめっちゃ濃く、とんでもない深みを感じる。
香りはフランボワーズ、レッドチェリー、カシス。はっきりした植物系のニュアンスがあり、ビオのワインだということが判る。
湿度の印象もある。シダ植物。
しかし堅いのでちょっとおいておく。
しばらくして飲んでみると、非常に筋肉質なタンニンを感じる。あととんでもなく強い酸。
一口飲んですぐに「酸つっよ!!!!!」って叫んでしまった。
明らかにネッビオーロと同じタイプの品種だ。
タンニンが強くて酸も強いから長期熟成できる。
しかし果実味はカシスやプルーンみたいな黒系果実ではなくレッドチェリーやキイチゴなどの赤系果実なので、そのアンバランスさはまさにネッビオーロっぽい。
強靭なタンニンと酸から伺えるのは、フェノール類の熟成した果実を使っていることだ。
バルベラなんかと飲み比べてみたい。
フレイザのタンニンを穏やかにすればバルベラとかに近くなるか?