かぜはくのテイスティングノート―すごいうしさん篇―
2013グランサングレデトロ/トーレス
写真は全く何の関係もないうちのかわいい猫です。
ご存知トーレスの最もメジャーなワイン……のちょっといいやつ。うしさんが付いてるんだよ。
しっかり果実味系!ファーストノットは甘い系の香りにやわらかな酸味を予想させる香りを感じさせる。
飲んでみたあたりとしては果実味からくるやわらかな酸味と骨格を感じるタンニン。その後に期待通りの果実味の甘さが訪れ、調和した甘味主体の酸味のある複雑味を帯びた余韻が訪れる。トマトソースに合うね!
すんこくんがきてた。
すんこくんは二種類ゲームを持ってきていて、その内もけもけを操作してもけもけと一緒に冒険するゲームをしてたんだけど、突然おもむろにすんこくんは鞄から二種類の謎の粉を取り出して調合を始め、我々に湯を求めて溶かしはじめたのだ。
善良なる市民であるぼくとじろーは、すんこくんが極めて違法な行為に望んでいるのではないかと危惧し、その粉の正体を問いただした。
すんこくん「これはな……日本では売っていない粉なんだよ」
ほとんど違法!ぼくは親友が法に抵触しているおそれがあるならば、勇気を持ってその行いを正しい方向に導く必要性を感じていた!かぜはくは法の遵法者であり、正義の化身、この星の平和の調停者、子供たちの夢と希望、そして全宇宙の悪が夜な夜なその名を思い出しては失禁するであろう、悪の道を歩むものにとっての悪夢そのものであるからだ!!!
僕はすんこくんを強かに打擲した!しかしそれは善意や勇気、前述したような高潔な精神からではなかった!!
なぜ殴ったか!それは殴りたかったからに他ならない!!!!
そうして僕は、すんこくんに薬の正体を聞いた。彼の常用する薬は、僕達を戦慄させしめるに十分な、悪魔のごとき薬物だった!!!
すんこくん「これは腸内の働きを良くして、栄養効率を高める薬なんや。そうすると体に肉が付きやすくなり、体質的に定められた以上に脂肪と筋肉がついて、色々あって筋トレの効率があがるんや。お前のような奴には判らんやろう。持たざるものは、持ちえぬものを何がしかの方法で補わねばならぬのだ。僕にとっての筋肉とは、そういうものなのだ」
大体そういう意味のことを言った。
殺伐!すんこくんは既に薬漬けになっていた。薬物に違法性は特になかったが、親友が既に薬物に依存して生活をしていることに、複雑な感情を抱かずにはいられなかった。
薬物で栄養素をコントロールすると、本来の方法では栄養素を摂取しづらくなると言う。その危険性について訪ねた。
すんこくん「サプリで摂取したらええんちゃう?」
だめだこいつ!ジャックハンマーだ!
おわり!
かぜはくのテイスティングノート-しゅわしゅわする王篇-
かぜはくのテイスティングノート―無限に広がる大宇宙篇―
あっ写メとってない!!
今日は(更新をサボってたから数週間前のはなしです)スペインはトーレスのいけてるワインを用意しました。
スペインといえば固有品種テンプラニーリョ!てんぷらがくいたい。天丼もくいたい。
テンプラニーリョらしい独特なスパイシーな香り。
口に含んでしばらく味を探すと色んな味わいが感じられる。特に豊かな果実味が感じられるね。
すげー標高高いとこ(兵庫県篠山市より高い)で作られてるらしく、それで渋みが抑えられてこんなすっきり系になるのかな?
で、セレステってのが星空って意味らしいよ。ロマンティックだよね。ロマンチックじゃない。ロマン……ティックだ。
タンニンは柔らかだけど酸がしっかりしている。そのためにすっきり系ではあるけど余韻は長い。新樽率も100%らしく樽臭も感じられる。でも樽がものすげえ効いてる!ってわけじゃないね。
味の変化はあまりない。ただでもテンプラニーリョのスパイシーさをかなりはっきりと感じられるので、そういう点では優秀。これぞテンプラニーリョ。これぞスペイン。これぞトーレスという感じ。
合わせる飯としてはデミグラスソースって聞いてたんだけど、これはタパス系ではなかろうか?
取り分け可能で味にバリエーションがあるような、つまりカジュアルなパーティシーンに向いているように思われる。
ハンバーガーとかでもいいのでは感があるね。
かぜはくのテイスティングノート―マンジカブラ篇―
ソムリエねこ。
前回のエントリで紹介した阪神大ワイン祭で購入したワインなのだが、
カンティーネ・マルツァーノ
コレッツィーオ・チンクアンタ+1
という子です。
風来のシレンで似たような名前の武器見ましたね。
ボトルがね、かつてなく重い。
アルゼンチンのノートンとかより重い。世界的にボトルは軽くなる傾向にあるというのに時代の流れに立ち向かうかのごとく重い。
よくイタリアは長靴やブーツの様な形と言われているが、ブーツの踵部分、プーリア州で作られているワインなのだ。
品種はどちらも樹齢50年以上で、2011年のプリミティーボと2012年のイタリア土着品種ネグロアマーロが50パーセントずつ。何か知らんが作ってるとこが50周年らしく50という数字に拘っているぞ!
異なる年度のぶどうを混ぜているのでこのワインはノンヴィンテージだ。
濃厚!タンニンはあるが柔らかく、濃厚さは甘さをも感じさせるがこれは糖由来の甘さというより葡萄の凝縮感によるもの……実際度数は14.5度と赤ワインの限界に近い。元々の葡萄の糖度が高いからアルコール度数が高くなってもボディに甘さが残るのか?
余韻は長いけど前みたいに永遠ではない。
果実味はアメリカのワインと似ているね。
すぐ飲んですぐうまい!ローヌにも似た傾向で、まあこういうワインが好きなんだよ。
合わせるのは業務で買ってきた牛肉の塊から作られし、ローストビーフとタルタルステーキだ。うまい。じろーちゃんありがとう。
で唐突にバサラの毛利元就の話になった。彼は人と人の繋がりとは?ということに関して周りから様々なストレッサーがあって、結局迎合出来ずに宗教にのめり込んでいった。しかし彼がやっているのは厳密には信仰であって、宗教ではない。だから宗教の副次的要素であり多くの宗教人の求めるコミュニティ内の結束みたいなのとは彼の本質と相反する。その実毛利元就にとって宗教の副次的要素を目当てに宗教する人達というのは、今まで通り捨て駒に出来るのだろうなということを話した。
でワインの話に戻るのだが、この後の課題というものが見えてきた。
「グルナッシュとは何か?」ということである。
グルナッシュ、僕は大好きなのだが、何がグルナッシュで、グルナッシュの特徴である泥臭さを更に見定めようという考えだ。
そういうわけで次はグルナッシュがアッサンブラージュされたいくつかのワインを揃えてテイスティングしてみようと思う。
おわり!
阪神大ワイン祭
半神がなぜ生まれるか。根源的な話をすれば、それは神とそれ以外が交わることによって神の血とそれ以外の血を受け継いだ――「異類婚姻」、あるいはこの場合は、さらに限定して「神婚」と呼ばれることもある――子孫が誕生するからである。
日本のみならず、数多くの神話体系において、神婚説話は、英雄の誕生と、神話のターニングポイントを意味する。
神々から英雄へと主人公が譲られ、それが各氏族や国家の起源となるのである。
この記事ではそういった神婚説話と英雄の誕生、その先にある共同体の形成について、比較神話学と文化人類学という二つの側面から明らかにしていきたいと思う。
一、阪神について
ゴールデンウィークは大阪にある阪神で大ワイン祭が開催されるので、呑兵衛の我々はおっとり刀で駆けつけた。
なんとこのイベント、四十を越すブースがあり、約八百ものワインがフリーテイスティング出来る恐ろしいイベントなのだ!!!
要はタダで飲み放題なのだ!!!!!!!
このイベントで発見したことは幾つかある。
僕はこれまで、ブルゴーニュのワインを軟弱で味気ない、マンモーニの飲み物だと思っておった!!!
実際試飲したワインの中には、高価なブルゴーニュワインであっても物足りねえと感じることも多かった!
しかし全房発酵(発酵の時葡萄の種も茎も全部ぶち込む)のブルゴーニュワインに関してはその限りではないということが判ったのであった!
白を勉強しにいったのに結局ローヌのワインばっかり飲んでる奴がいたというし、昼前からちょいちょい休憩しながら八時くらいまで吟味しつつ試飲してたら、再会した店員に「今まで飲んでたんすか……?」って言われたけど俺達はアルコールエリートなので君たちの常識で量られてはこまってしまうね。
問題があるとすれば、似た系統のワインを色々試して高級ワインもぺろぺろしておると、最初飲んで「うまい!」と思ったワインも後になってもう一度飲むと「あっそれほどでもない!」となる、一日にして舌が肥えてしまう現象が起こったことであった。
そして結局僕達はまた赤ワインを野菜室にぶち込む結果となったのであった。
おわり!
かぜはくのテイスティングノート―ストーキング篇―
事の起こりはつい一昨日、うちに一つの宅配便が来たことから始まった。
まったく身に覚えのない荷物なのだが、差出人を見たところすんこから某かの貢物であったようなのですんこなら仕方ないということになった。
内容物はワインブリーザー(要するにデキャンタ)とワインストッパーと芋の皮剥くやつであった。
デキャンタに関してはそのうち買おうと思ってたからうれしい!ありがとうすんこくん。今度何かしらでお返しするね!(と言って前の貢物から半年近く過ぎている)
芋の皮剥くやつは多分僕がすんこくんに手料理をぶちこんだからだと思う。芋だけではなくごぼうの皮も向けるからこれでかぜはくは剥きエルフ的な存在となり、懐古、幻想、郷愁、憧憬、あるいは皮に対する異常な執着を纏いて筑前煮とかを作る。
ワインストッパーに関しては酒飲み二人での暮らしにおいてはあまり活用の機会がないのだが、飲み比べとかの時に使われるであろう。基本的に開いた酒は飲むからね。
で今日は何を飲むかと言うと、ヴィルマジューというフランスはラングドック・ルーションのワインだ。ヴィンテージは2013。
掻い摘んで説明すると、まあ南西地方のワインであって、品種はシラー、グルナッシュ、カリニャン、ムールヴェードルがそれぞれ25%ずつ混ぜられたやつだ。
シラー(しっかり)、グルナッシュ(特徴的)、カリニャン(特徴的)、ムールヴェードル(シャバシャバ)が混ざり合うことによってどのようになるのか見てみることにしましょう。
そういうわけでデキャンタージュする。
どぷどぷ言いながら注がれていき、すんこくん好きそう。
ギフトのメッセージに好きなエロ漫画家の語録を入れるすんこくんなら好きそう。
でぎゅすたしおーん
香りは明らかなグルナッシュ臭。僕はグルナッシュが好きなんだよ。変な匂いするから。
飲んでみると癖のある匂いの次に来るのは南系の味わい。余韻は甘く、長続きする。
デキャンタージュすると癖のある匂いにまろやかみが増す。
それに伴ってデキャンタージュしなくても長続きした余韻が、無限に感じられる。ずっと口腔から喉あたりに濃厚な果実味が居座り続ける。
スワリングしたあとのワインの涙から見て取れるグリセリンも多い。ねっとり系で香りも味もアルコールも余韻も粘着質。
僕はこういうのが好きなんだよ!
なんか良くわかんねえけど酸化防止剤にビタミンCがぶち込まれており、なんでなの?って気になって調べてみたら亜硫酸塩より比較的安全だから?みたいな結果となり、つまり良くわかんねえということになった。
ポリフェノールとビタミンを補給したことにより、もしかすると僕は不老不死になったかもしれん。
人の子よ、さだめられし命を持つものよ。命に飽きよ。生を貪れ。水に瓦を積み重ねるのはやめにしよう。全ては有限。移ろい、失われ、朽ち果てるのがさだめ。それこそが命なのだ。いつまで有る無しのわずらいになやんでおれよう? 短い命をたのしむに何をためらう? 酒盃に酒をつげ、この胸に吸い込む息が出て来るものかどうか、誰に判ろう?あすの日が誰にいったい保証出来よう? 哀れな胸を今この時こそたのしくしよう。月の君よ、さあ、月の下で酒をのもう、われらは行くし、月はかぎりなくめぐって来よう!
南系のいいとこは値段に比例して素直にうまくなるし、すぐ開けてすぐうまいのもかなりある。
濃厚かつコクがあることと(要は僕の好きな味)、コストパフォーマンスもかなりいいというとこが超いい。誰でも味わえるし、うんちく抜きにうまい。
にしても余韻しつこ過ぎない?ストーカーか?おれはくわしいんだ。
かぜはくのテイスティングノート―姫騎士篇―
えらい人に「テイスティングノート付けてるよね当然?」って言われたので付けることにする。
いやつけてたよ?当然だよね?俺様エリートだしね?
今日飲む奴は…………姫騎士アンジェリカです。
なんでそうなったかっつーと、このワインは「エスクード・ロホ」と言うのだが、「赤い盾」という意味で、なんでそんな名前が付いたかっつーと赤い盾さんが作ってるからというわけです。つまりバロン・フィリップ・ロスチャイルドさんです。ロスチャイルドさんというのはロートシルトさんなわけです。姫騎士アンジェリカなわけです。あなたって本当に最低のクズだわ!!!
さてテイスティングノート。
このワインのコンセプトは、力強いチリワインは安くてうまいのだが、それをフランス第一級シャトーの力量で熟成可能なワインを作ってみたらどうなるのかというやつです。
能書きには「デキャンタージュしろ!さもなくば禍に苛まれるであろう!」と書いてあるのでそのようにする。
我が家にはデキャンタがないのでポットにどぼどぼするのだ。
で。
デキャンタしても第一印象は「こいつなんか変な匂いすんぞ!!!」だった。
くせえ!一口。くせえ!ちょっと寝かせてみよう。
…………
この匂いがどこから来るのか舌の上で探してみよう。熟成香?樽臭?カベルネソーヴィ二ョンの木っぽい香りから来るものなのか?
この時点で三十分くらい。
ん?このワインファーストノットはともかく後味かなりいいな?高級ワインのそれだな?
……
さらに空気に触れさせる。
不意にあの妙な匂いが落ち着く。これは想像だが、変な匂いはカベルネソーヴィ二ョン由来のもので、七年の熟成から目覚めた時、一番最初に起きたのがブレンドされた品種の内カベルネソーヴィ二ョンだったんだろうと思う。しばらく立つと起き抜けの不機嫌な感じがなくなって、他の品種たちが目覚めてきてカベルネソーヴィ二ョンを宥めて全体の調和が訪れる。素晴らしい余韻はかなり長く続き、それが嫌味でない。
しばらく空気に触れさせた後の素晴らしい味わいを感じるために最初の一口を飲むのはよいと思う。
ワインの面白い部分の一つが時間とともに味わいの変化があるところだと思う。
最初の悪印象を、後から挽回したあとが真骨頂で、高級ワインの名に恥じぬ味わいがある。
ゆっくりと時間の流れと味わいの変化を楽しむには実によいワインであった。
おわり!