かぜはく電脳曼荼羅

玄秘学、食文化、ゲーム、生と死に非常な関心があります。

生活の中に何かしら新しいものを取り入れる試み -ゴルゴンゾーラDOP-

この世は美しいもの、素晴らしいものに満ちている。

我々は身の回りによいと思うものを取り入れながら生きている。

それは自分の好みにあうものだったり、見た目が美しいものだったり、希少なものだったり、効率がいいものだったりする。

何がしかの判断基準によって、我々は何かを選びとって自分の生活、人生に加えて生きていく。

本来ならばそれは、身の回りに自分の選んだよいと思うものばかりが集まっていき、自分を取り巻く世界はよりよくなっていく。

 

だが人間は飽きる。

どれほど美しい景色であっても、美食であっても、続いていると飽きる。

この飽きこそが全く人生において恐るべき感情であって、本来自分が素晴らしいと思った珠玉のものが、まるで路傍の石片のごとくに見えてしまう。

 

なので、僕は常に自分の周りに良いと思うものを起きつつ、それを更新していきたいと思っている。

そしてまた同時に、変わっていくもの、代替わりするものがありつつも、常に変わらず僕の周りにあるものを作っていきたい。

 

新しいものを試していくことで、様々な知見が得られるはずだ。

そしてその知見は人生を豊かにし、次の僕の選択をより良いものへと近づけてくれるはずだ。

 

そんな訳で今回試してみたのはこちら。

 


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コストコで買ったゴルゴンゾーラ・ピカンテDOPです。

 

ぼくブルーチーズだいすき!

ただこの世の中には安くてうまいブルーチーズなどというものは存在せず、非常に困っていた。

こいつに出会うまではダナブルーばっかり食べていた。

 

一応解説しておくと、ゴルゴンゾーラDOPはイタリアのロンバルディアからピエモンテ州にかかる地域で作られる原産地呼称付き(神戸ビーフ近江牛夕張メロン八丁味噌みたいなもん)チーズだ。

牛乳の固形物と青カビを重ねて作るチーズで、独特の刺激臭とうまみがある。

アオカビの生育に塩分が必要なため、塩気も結構ある。

ダナブルーはデンマークで作られるゴルゴンゾーラとかロックフォール(フランスのDOPチーズ)のパチモ……インスピレーションを受けて作られた本家よりちょっとお安めのチーズだ。

 

そもそもカビを人間が食って大丈夫なのかという話なのだが、アオカビの大部分はいわゆるカビ毒(マイコトキシン)を出さないため、適切な環境下のアオカビは体に入れても大丈夫なのだ。

だからといって放置したパンにアオカビがついてるやつを食おうとするのはやめたまえ。

アオカビは空気中に沢山いるのでありとあらゆるものに付くが、常温で放置されたものに目に見えるくらいアオカビが繁殖していれば、アオカビ以外のカビも相当に繁殖している。

そいつらはカビ毒があるし、食うとダメージを受けるぞ。

ものを拾って食っても大丈夫なのは特殊な訓練(普段から床に落ちたピーナッツを食ってたり虫のついたレタスを生で頬張ったりするようなやつ)を受けたやつだけだ!

 

そんなこんなで乳成分の固形物に直接アオカビを注入してつくる場合の青カビチーズは人間の体にとって全く問題がない!どんどん食え!!

 

ゴルゴンゾーラについては味がピカンテとドルチェの二種類がある。

ピカンテが辛口、ドルチェが比較的食べやすいという感じ。

今回買ったこいつはピカンテ。

僕は断然ピカンテが好きです。

 

ブルーチーズは、臭い部類のチーズに入る。

食べてる時もそうだが、食べ終わった後も口から刺激臭がするので、気にする人は気をつけよ。

僕は全く気にしませんが……(美青年なので多少口臭いくらいはむしろよいとされている)。

アオカビがもたらす独特の香りは他にかわりのないものだ。

ダナブルーが苦手な家内も、このゴルゴンゾーラは割と好みだったらしい。

酒のつまみにいいね。

酒に合わせるなら二通りのアプローチがある。

極甘のワインに合わせるか、同郷であるイタリアピエモンテ州の赤ワインに合わせるかの選択肢が一般的であろう。

やったことないけど濁り酒とかと合わせたらもしかしたら面白いかもしれん。

 

ここは完全に好みの問題だが、ブルーチーズを食べやすくするためにハチミツをぶちまけたり、デザートワインと合わせるスタイルは、あまり僕の好みではない。

ブルーチーズの良さである刺激的で強烈なキャラクターを損なってしまう。

仏陀リクルートスーツを着せて就活させるようなものだと思う。

 

それが好きな人もいるのでダメだと言うわけではないが、くっせえブルーをタニックで田舎臭いネッビオーロや古風なバルベラと合わせながら摘むのがやはりよい。

何故か?味の濃さで脳がバグり、やがて陶酔へと至るからだ。

僕にとってブルーチーズは魔境へと誘う食べ物で、神秘的飲酒体験の道行を共にする信頼出来る友でもあるからだ。

 

そうは言うがピエモンテのワインは安くて美味いのが少ない。

ので、もう少し手に取りやすく受け入れられやすい組み合わせとしては果実味が強く多少タンニン、渋みのある赤と合わせるのもよし、なめし革のニュアンスのあるワイルドなワインと合わせるのもよし、困ったら地中海の凝縮感ある赤と合わせておけば大きく外れることはないだろう。

 

ブルーチーズは放置しとくとどんどん臭くなる。

当然アオカビは生きているので、適切な環境下ではどんどん育っていく。

チーズ界ではこれを熟成と呼ぶ。

発酵食品にカビが繁殖していくことを踏まえて敢えて言うが、熟成したアオカビチーズはマジでうまい。

 

ただ人によって許容量はある。

僕は全然いけるけど人によっては臭すぎて無理という人もいるだろう。

 

そういう時はブルーチーズをそのままフライパンに突っ込んでソースにするとよい。


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香りが他の食材と調和し、超いい感じになるであろう。

キノコとの相性は最高!

 

ただ、普通に食える状態のブルーチーズを少々ソースにしたとしても、味にパンチが足りない感が出る。

ソースにするなら十分熟成してくっせ!!!!!みたいな状態のやつにするとよい。

なあに、火を通せば食える。

なおレシピは特にない。ブルーチーズを熱すればそれはもうブルーチーズソースだ。

ブルーチーズソースにも様々な流派があり、生クリームを入れたり牛乳を入れたりする派閥がある。

別段僕はどの派閥に属しているわけでもないのだが、生クリームを使うのは財布に優しくないしそんなに味がパキッとする(かぜはくの国の言葉で味が濃くなって脳に響く状態を指す)わけでもないので省く。牛乳はあってもよい。

より味をパキッとさせたいなら、塩の代わりにパルメザンを入れるとよろしい。パルメザンは何にかけてもうまいし、生クリームと比較すると費用対効果が大きい。

調理による旨味ビリティも高くなる。

 

加えて言うとゴルゴンゾーラは山のチーズであるため、山の食材と相性がよい。キノコを限界までいれてよい。

マッシュルームはもちろん舞茸もよい。春先であればタケノコも面白いだろう。

 

皆さんもブルーチーズを食べましょう。