かぜはくのテイスティングノート -新しいbluetoothキーボード買ったから試し打篇-
シノン・ルージュ/ドメーヌ・クロ・ゴドー
やべっ 写真がブレたわ。
しかし画像のブレは波動と考えてほしい。
おもむろにトリミングの跡が見えても気にしないで欲しい。
シノンという産地はフランスのロワール地域にある。
ワイン産地としてというよりは、観光地としてのほうが有名かもしれない。
ロワールは「フランスの庭園」と呼ばれるほど風光明媚な場所で、景勝地としても知られているからだ。
シノンを含むトゥーレーヌ地域はそれを踏まえて、「庭園の花」などと呼ばれることもあるという。
ロワール域において最古の城が現存しており、政治的にも重要な場所であった。
ジャンヌ・ダルクとシャルル七世の会った場所といえば、やや伝わりやすいであろう。
歴史的にはイングランド王ヘンリー二世が大人気のジョン失地王に与えようとして他の兄弟に妨害されたりするなどして、プランタジネット朝に影を落とす存在でもあった。
かぜはくはジョン失地王好きなんですよ。戦争大好き獅子心王リチャードの割を食った形で無能扱いされてて、いいよね。
ジョン失地王の話をし始めるとこの記事の文字数が一万字を間違いなく超えてくるから、また今度ね。
そんなシノンがワイン産地として最注目されているらしい。
ロワールといえば白の産地で、爽やかなソーヴィニヨン・ブランや甘口のワインなども有名であるが、場所によってはピノ・ノワールなども素晴らしいワインが生み出されている。
しかしこのシノンはそのあたりとは違って、カベルネ・フランという葡萄で作られている。
このカベルネ・フランはフランス、ボルドーに於いてはカベルネ・ソーヴィニヨンの補助品種として使われることが多く、主要品種になることは少ない。
しかしながら最近の流行では、ボルドー系品種を使うことに長けたイタリアのボルゲリ地域でカベルネ・フランの偉大なワインが生み出されたりするなどしており、カベルネ・フランへの注目が高まっている。
その点このシノンなどは、シノンAOCが制定されたときからカベルネ・フランでやってきている。
カベルネ・フランに一日の長ありというわけだ。
カベルネ・フランの特徴としては、カベルネ・ソーヴィニヨンに雰囲気として近いのだが、やや植物系のニュアンスや土の印象、針葉樹林の雰囲気などが出やすい品種ということが言えるだろう。
加えて言えば、若いカベルネ・フランはピーマンの匂いがする。
テイスティングしてみよう。
やはり植物系ニュアンスはたしかに強い。
濃いガーネット色で、熟している印象を受ける。色だけを見ると熟度の高い、若いカベルネ・ソーヴィニヨンっぽい。
カシス、ブラックベリー、 杉、 ピーマンの香り。
熟度が高いこともあって香りだけだとニューワールドのカベルネ・ソーヴィニヨンの感もある。
シダ植物や下生えなどの湿度を感じる。
思ったより全然エレガントでよい。若いしもっとピーマンかと思った。というより香りの要素の上ではピーマンだけど味の方はそこまででもない。
青い要素もあるけどボルドーの同価格帯より遥かに纏まっている。
合わせるならやはり鴨だろうなあ。
ローストビーフもよし。
植物系のニュアンスは肉系ソーセージや、キノコソテーなどでもいいのかもしれない。
ところでこの酒、家の近所のワイン・ショップで見つけた。
色々物色している中でマイナー産地だったので試してみたのだが、これがなかなかどうして悪くなかった。
聞けば今現在のような状況下でなければ店内で試飲会なども行っている様子。
はっきり言って僕のテイスティング能力は凡人のそれではないレベルなのだが、何分野心がないために今一ぱっとしない泡沫ソムリエとしての状況に甘んじている僕としては、こういう環境が必要なのかもしれないと感じた。
しかし人間と関わり合いになるのが全くしんどい暮春である。