かぜはく電脳曼荼羅

玄秘学、食文化、ゲーム、生と死に非常な関心があります。

かぜはくのテイスティングノート -新しいbluetoothキーボード買ったから試し打篇-

シノン・ルージュ/ドメーヌ・クロ・ゴドー

 



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やべっ 写真がブレたわ。

しかし画像のブレは波動と考えてほしい。

おもむろにトリミングの跡が見えても気にしないで欲しい。

 

シノンという産地はフランスのロワール地域にある。

ワイン産地としてというよりは、観光地としてのほうが有名かもしれない。

 

ロワールは「フランスの庭園」と呼ばれるほど風光明媚な場所で、景勝地としても知られているからだ。

 

シノンを含むトゥーレーヌ地域はそれを踏まえて、「庭園の花」などと呼ばれることもあるという。

 

ロワール域において最古の城が現存しており、政治的にも重要な場所であった。

ジャンヌ・ダルクとシャルル七世の会った場所といえば、やや伝わりやすいであろう。

 

歴史的にはイングランド王ヘンリー二世が大人気のジョン失地王に与えようとして他の兄弟に妨害されたりするなどして、プランタジネット朝に影を落とす存在でもあった。

かぜはくはジョン失地王好きなんですよ。戦争大好き獅子心王リチャードの割を食った形で無能扱いされてて、いいよね。

ジョン失地王の話をし始めるとこの記事の文字数が一万字を間違いなく超えてくるから、また今度ね。

 

そんなシノンがワイン産地として最注目されているらしい。

 

ロワールといえば白の産地で、爽やかなソーヴィニヨン・ブランや甘口のワインなども有名であるが、場所によってはピノ・ノワールなども素晴らしいワインが生み出されている。

 

しかしこのシノンはそのあたりとは違って、カベルネ・フランという葡萄で作られている。

このカベルネ・フランはフランス、ボルドーに於いてはカベルネ・ソーヴィニヨンの補助品種として使われることが多く、主要品種になることは少ない。

 

しかしながら最近の流行では、ボルドー系品種を使うことに長けたイタリアのボルゲリ地域でカベルネ・フランの偉大なワインが生み出されたりするなどしており、カベルネ・フランへの注目が高まっている。

 

その点このシノンなどは、シノンAOCが制定されたときからカベルネ・フランでやってきている。

カベルネ・フランに一日の長ありというわけだ。

 

カベルネ・フランの特徴としては、カベルネ・ソーヴィニヨンに雰囲気として近いのだが、やや植物系のニュアンスや土の印象、針葉樹林の雰囲気などが出やすい品種ということが言えるだろう。

加えて言えば、若いカベルネ・フランはピーマンの匂いがする。

 

テイスティングしてみよう。

やはり植物系ニュアンスはたしかに強い。

濃いガーネット色で、熟している印象を受ける。色だけを見ると熟度の高い、若いカベルネ・ソーヴィニヨンっぽい。


カシス、ブラックベリー、 杉、 ピーマンの香り。
熟度が高いこともあって香りだけだとニューワールドのカベルネ・ソーヴィニヨンの感もある。
シダ植物や下生えなどの湿度を感じる。


思ったより全然エレガントでよい。若いしもっとピーマンかと思った。というより香りの要素の上ではピーマンだけど味の方はそこまででもない。
青い要素もあるけどボルドーの同価格帯より遥かに纏まっている。


合わせるならやはり鴨だろうなあ。
ローストビーフもよし。
植物系のニュアンスは肉系ソーセージや、キノコソテーなどでもいいのかもしれない。

 

ところでこの酒、家の近所のワイン・ショップで見つけた。

色々物色している中でマイナー産地だったので試してみたのだが、これがなかなかどうして悪くなかった。

 

聞けば今現在のような状況下でなければ店内で試飲会なども行っている様子。

はっきり言って僕のテイスティング能力は凡人のそれではないレベルなのだが、何分野心がないために今一ぱっとしない泡沫ソムリエとしての状況に甘んじている僕としては、こういう環境が必要なのかもしれないと感じた。

 

しかし人間と関わり合いになるのが全くしんどい暮春である。

 

 

シャンパーニュと旧約聖書とオリエントの話

シャンパーニュなる酒がこの世の中にある。

フランス共和国シャンパーニュ地方で作られている一定基準を満たした発泡性ワインであることはよく知られている。

 

中世ではフランク王国戴冠式などにこの地方のワインが振る舞われていたり、ドン・ペリニヨン修道士が発泡したワインを作るようになってからは世界中で好んで飲まれている。

祝いのお酒としてのイメージが強く、様々なシーンで楽しまれているね。

 

僕これあんま興味ないんだよね(今日の話終わり)。

 

物にもよるけど高いじゃないですか????

こちとらコスパ重視で生きてるので、うわークリスタルさんまんえん!ジャック・セロスごまんえん!クリュッグのクロ・デ・ムニルさんじゅうまんえん!とかを消えものに使えないわけ。

三十万あったら株買うわい。

 

値段だけの問題じゃなくて、うまいのはうまいんだけどほんのちょっっっっっっとの差で値段がバカみたいに上がるので、香ばしい系の泡が飲みたかったらスペインのカヴァとかを買う。安いので。

もっと言うとさっぱりしてて果実味も感じられるほうがいいので僕はプロセッコの方が好き。

 

じゃあなんでシャンパーニュの話ししたの???と思ったそこの君。

アッシリアバビロニアの話しませんか????

シャンパーニュより遥かに興味を引くテーマだよね(そうか?)。

 

そこ(シャンパーニュ)とそこ(オリエント)は繋がらねえだろという意見があるかと思います。

そこを繋げて行きます。

 

シャンパーニュって色んなボトルのサイズがあるんですよ。

ここんとこソムリエ試験で毎年絶対出るから抑えときなさいよ諸君。

かく言う僕も単語帳に容量と名前を書いて覚えました……。

 

まずは通常サイズ、

1.ブテイユ(750ml)

こいつは特に言うことない。

なんで750mlかというと、イギリスがガロン単位でワインを輸入してたかららしいね。

ガロンつかもと!

 

2.マグナム(1500ml)

ラテン語のmagnumに由来している。

意味は、「デカい」。

 

3.ジェロボアム(3000ml)

イスラエル王国を樹立した王、ヤロブアムに由来している。

在位 紀元前931-紀元前910年。

 

イスラエル王国のソロモン王に雇用されていたサラリーマン

ソロモン王に敵対する預言者にヤロブアムは部族の王になるであろうみたいな預言を受けていたので、イスラエル王ソロモンはヤロブアムを殺すことに決めました!

 

しかしヤロブアムはエジプトに亡命。

ソロモンが後継者に選んだのがレハブアム。

レハブアムが暴君だったので、民衆はヤロブアムを焚き付けてこの二人の対立が深まった。

結果的にイスラエル王国は分裂し、ヤロブアムは北イスラエル王国の建国者になった。

だが彼の政治的手腕はともかく、宗教者としてはバッシングに満ちた人生だったと言える。

イスラエル王国はサウルというおっさんが作りかけて頓挫しかけたところをダビデというウマ息子フルチンダービーが引き継いで侵略戦争をしまくって大きくした国だ。

ダビデというのは旧約聖書に乗っ取るなら神ヤハウェの代理者的存在であった。ダビデのやることは神のやることで、絶対的な神のお墨付きをもって王をやっていた。

ダビデ契約」と呼ばれるのがそれである。

ヤハウェは都をエルサレムに選び、王をダビデにすることにしたという内容だ。

政治においてもダビデは(現実的には人気取りのために仕方なくやってたフシはあるが)それなりに神ヤハウェに忠実にやっていた。

ちょっと調子こいてヤハウェに見捨てられたダビデに入れ替わり、ソロモンという男がイスラエル王になった後もそのスタンスは変わらなかった。

だが、分裂後のヤロブアムは違った。

ヤハウェが絶対すんな、したら殺すと耳にタコが出来るほど言い続けてる偶像崇拝をやったり、祭りの日を変更したり(リスケジュールが出来るサラリーマン)、本来レビ族しかなれない祭司を他の部族にやらせたり(実力のある部下に既得権益になっている役職を改革させることが出来る上司)した。

この結果北イスラエル王国は背教者の国ということになってしまった。

でも忠実にやることやってても理不尽にキレて人を殺すヤハウェは何故かヤロブアムを殺すことはしなかった。

へーんなの。

 

4.レオボアム(4500ml)

そういやシャンパーニュのボトルの話だったね。

前述したイスラエル王国の王、レハブアムに由来。

在位紀元前930-紀元前913年。

 

偉大すぎる王ダビデの息子である偉大すぎる王ソロモンの息子、レハブアム。

端的に言って彼は暴君だった。

しかし環境による重圧だとか、偉大な祖父と父に対する感情だとかによって情状酌量の余地がないこともない。

ソロモンも大概無茶苦茶な政策をやりまくっていたのだが、そのお鉢が回ってきたので辞める訳にもいかず、政治手腕は凡庸なので金を掛けるしかなくなる。

つまり税金がたくさん必要になり、民衆に嫌われ……という可哀想な流れ。

イスラエルの民衆が、「頼むから税金安くして仕事を楽にしてくれ」と懇願した時、レハブアムは「わかった!税金を重くしてやろう!!」とか言った。

 

 

僕、税金とかいうの嫌いだからやっぱこいつもキライ!!!

 

しかし彼の可哀想な人生は北イスラエルを失ってユダ王国になってしまった事だけに留まらず、父であるソロモン王が建立した歴史に名高いソロモン神殿もエジプト王朝にボコボコに粉砕されて跡形もなくなった。

エジプトに臣従して属国化し、弱小国家になって可哀想な人生を送る羽目になった。

 

こういうのをヤハウェの下した罰だと聖書が言うのなら、僕はこの陰湿な罰の降し方をするヤハウェのこと嫌いじゃないよ。神(というものが存在すると言う立場の方々に最大限譲歩してその人格を認めることを前提として)のくせにみみっちくて。

 

5.マチュザレム(6000ml)

みんなエルシャダイやった?!?!?!

あれクソつまんないよね!!!僕は好きだけど。

あれ続編出てるの知ってた?ザ・ロストチャイルドっていうらしい。プラットフォームがPS4なのでやってませんが……。

あとPC版が発売されますよ。

 

エルシャダイに、イーノックってやつ居たと思うんだけど、イーノックの息子であるメトセラに由来しているのがマチュザレム

 

創世記に記述があり、イーノックが65歳の時の子供。

187歳でノアが生まれ、969歳で死んだ。

死んだ直後に大洪水が起こってノアが方舟を浮かべるという話。

 

いくらなんでも人間がそんな生きるわけないだろ。

話盛るんだよな聖書は。

 

解釈としてはENOCH(えのっち)が神に好かれており、メトセラも同様だったためにメトセラが死ぬまで大洪水起こさんとこ!みたいな神の思惑があるとかいうのがある。

 

メトセラが死んだからダム的なものが決壊して大洪水が起きたのだ……みたいな。

 

そうは言うが、聖書の記録を大真面目に受け取れば、アダムが930年(諸説ある)、メトセラの曽祖父マハラレルが895年、祖父ヤレドが962年、孫のノアが950年(諸説ある)生きているので、大変信じ難い話ではあるが、この五人の平均寿命は937歳となる。

つまり平均寿命よりちょっとだけ長生きしたということになる。

何もメトセラだけが特別に長生きってわけじゃない。

聖書によれば、大洪水以降はヤハウェの唐突な思いつきで「人間の寿命は120年にしよう!」ってなったらしく、徐々に寿命が短くなっていく。

 

僕はインターネットのない世の中で900年も生きるのはちょっと無理ですね。

 

6.サルマナザール(9000ml)

アッシリアシャルマネセル5世に由来。

在位 紀元前727-722年

 

アッシリアっていいですよね。僕好きなんですよ。

世界帝国、四方世界の覇者、総体の王。

 

同じシャルマネセルだったら3世の方が好きなんだけど、なんてったって5世はイスラエル王国を滅亡させてますからね。

 

旧約聖書のうち、イスラエル王国の王について書かれた『列王記』は、正直内容がいまいちぱっとしない書物なのだが、面白いと思えるのはイスラエル王国アッシリアバビロニアに対する怨恨がこれでもかと言うほど書かれているところくらいだろうか。

 

この時のイスラエル王国はヤロブアムの北イスラエル王国の系統だ。イスラエル王国がどう言おうが、とっくにアッシリアに臣従していたわけだが。

アッシリアにへこへこするのが嫌になったイスラエルホセアは「シャルマネセルがこの広大な帝国を維持するのは無理に違いない!」と判断して貢物をやめたため、当然アッシリアは見せしめのためにシメないといけなくなる。

ここにアッシリアVSイスラエル王国の戦争が始まった!

 

アッシリアの宗教は、メソポタミア神話に起源を持つ。ことアッシリアに於いては都市神アッシュールが最も祀られていたが、イシュタル神殿や天候神アダド神殿などもあった。

 

対してイスラエル王国は言わずと知れたアブラハムの宗教で、最高神は言わずもがなヤハウェだ。

 

戦争においてイスラエル王国アッシリアに征服されたことは、宗教の観点から見た場合はヤハウェとアッシュールの代理戦争をイスラエル王国アッシリアがやったということになり、結果的に全知全能の神、ヤハウェアッシリアの都市神アッシュールに敗北したということになる。

 

この時点でヤハウェはアッシュールよりも格下の神になってたんですね。

 

案外ヤハウェってよく負けるんだよな。

人間にすら相撲で負けてますからね

 

そもそもイスラエル王ホセアの見切り発車で始まったこの戦争だが、結果としてイスラエルの民にとっては耐え難い出来事だっただろう。

これが「アッシリア捕囚」といって、もともとイスラエルに住んでた人たちをアッシリアに連れて行って、変わりにバビロニア移民を北イスラエルに住まわせてアッシリア属州にしたというやつです。

文化的蹂躙!いいですね!!自分たちの都が別人のものになり、神殿が破壊され、記録は破棄される!そして当のイスラエル民族は遠い国でそれを見ることも出来ず、異郷の地で暮らすしかない。

そして異民族との混血が進んだ北王国は南王国からも民族的に軽蔑されることになる。

考えただけで興奮するわい……。

 

旧約聖書の『列王記』では、この事について

 

 

これは彼らがその神、主の言葉にしたがわず、その契約を破り、主のしもべモーセの命じたすべての事に耳を傾けず、また行わなかったからである。

と述べている。

 

これは南王国側(ユダ王国)が北王国(イスラエル王国)のことをディスってるんだけど、その後すぐアッシリアユダ王国にまで攻め上がってきて結局ユダ王国お金を払ってアッシリア服従することで許して貰いました。

 

でもアッシリアは基本逆らう奴は皆殺しか流刑、都市は破壊がデフォルトなので寛大すぎる処置といえる。

 

7.バルタザール(12000ml)

バビロニア最後の王ナボニドゥスの息子ベルシャザルに由来。

もっと有名なのは東方三博士の一人か。

ただ東方三博士のバルタザールは後付けの名前であるとするのがいまの環境らしいので、この件について詳しくは述べない。

それはそれとして、東方三博士としてのバルタザールは(時代の整合性などは全くないけど)、芥川龍之介のバルタザールが面白い。

 

ここで読める。

 

よみたまえ。

 

文中からシン、ベル、メロダクなどのバビロニア系神格の名前が見えることからも、別に芥川がボケててエチオピア王とかにしたのではないことが判る。

 

また、小説のみならず、芸術の分野において非常に人気のある題材となっている。レンブラントとかもこのベルシャザルを題にやっていたりする。

これはグーグル画像検索ですが……。

 

 絵画めちゃくちゃ多いし、オペラにもなっている。パブリックドメインになっているものも多いからまあ見ておきたまえ。

 

ベルシャザルが王かというと実際には摂政なのだが、旧約聖書ダニエル書では王ということにされている。

ベルシャザルが大規模ノミカイを開催していると、突然謎の手が出てきて壁に文字を書いた。

しかし誰もそれを読むことが出来なかった。

ユダ王国の捕囚、ダニエルがこれを読んで、「お前の治世がネブカドネザルに比べてしょぼい上に調子にのっているので、バビロニアはこれで終わりにする」と読み解いた。

実際その夜ベルシャザルは殺されて、バビロニアはアケメネス朝ペルシアに敗北することになる。

捕囚については詳しくは次の項で書くことにする。

 

ベルシャザルが調子こいていたことについてだが、彼が大酒宴に用いていたのはネブカドネザルがソロモン神殿から略奪してきた什器だったことが大きい。 それ以上に彼の名前が悪かったと言える。

アッカド語で「ベル・シャル・ウツル(ベルは王を守る)」という名前が聖書編纂者に見つかってしまい、いつぞやヤハウェがマルドゥークに負けた時の意趣返しをされたとも取れる。

ベルというのはバビロニアの主神マルドゥークの別名で、要するにヤハウェはマルドゥークに勝った!!!という風に書きたい人達が居たということだね。

陰湿なんだよなやり方が……。

 

何にせよ事実としてナボニドゥスの子ベルシャザルの政治はイケてなかったし、ナボニドゥスについても、政敵キュロスなどと比較するとやはり霞む。

そもそもネブカドネザルからの直系カルデア王朝じゃないしね。

新バビロニアの勃興は天才ナボポラッサルとその息子、神の剣、バビロンの再建者、バビロニアを最も繁栄させた者、四方世界の王、ネブカドネザルの手腕によるものが大きいので、それ以降の新バビロニアはね……。

 

そしてこのバルタザールの饗宴というエピソードには、思わず笑ってしまうようなオチがついている。

 

 

前述した突然手が出てきて壁に書かれた文字についてなのだが、

書かれた文字はこうだ。

 

「מנא מנא תקל ופרסין 」

 

旧約聖書学者M・Aベークはアルファベットに直しており、

 

mnh tlk prs prs

としている。

 

子音しか書いてないので、これを無理やりに解釈してダニエルは前述の通りに読み解いた。

メネ、メネ、テケル、ウパルシンと読み、

メネは「数えられた」

テケルは「秤で測られた」

ウパルシンは「別けられた」

という意味だが、宗教色を全く置き去りにして解釈した場合、仮にダニエルと同じ読み方をしたとしても、

「数えた」

「数えた」

「測った」

ペルシャ人が」

と読めるという説もあり、常に素朴にペルシャ系のパーティ参加者が壁に字を書いて計算していたと言う可能性があるとされている。

 

これを見て咄嗟にバビロニアをディスったダニエルは流石という他ない。

だがそれをおいてもバビロニア内の国民感情は最悪の状態だったので、アケメネス朝ペルシアがこの後バビロンに入場した際は無血開城したほど。

つまり滅びの予感どころか、絶賛滅んでる最中だったということです。

 

 

8.ナビュコドノゾール(15000ml)

言わずと知れたネブカドネザル二世に由来。

即位紀元前605年 - 562年

 

今日はこの話がしたかった……。

恥ずかしながらソムリエの試験勉強してる時はナビュコドノゾールっていう文字列を見てすぐさまネブカドネザルに結び付けられなかったんだよな。

皆さん、ネブカドネザルのことご存知ですか?エヴァとかで有名ですよね。

僕はエヴァ履修してませんが……。

 

バビロニアという国は、実に歴史の長い国である。

世界で最も古くから農耕の行われている地域であり、四大文明の一つ(最近はこう言わないらしい)、メソポタミア文明の中心地であった。

シュメール人アッカド人達は「文字」という世界で最も尊い(かぜはくの主観です)文化を発明し、都市国家を形作っていった。

今なお古代文学として著名なギルガメシュ叙事詩などはウルク第一王朝にあたる。

しかしバビロンに勃興した王朝として最も有名なものはバビロン第一王朝であろう。

ハンムラビ王で有名なこの王朝は古代オリエントを統一し、四方世界の中心地をバビロンに据えた。

 

全くの余談なのだが、新婚旅行でルーブルに行った時、僕は「何があってもハンムラビ法典だけは見たい!!」と言って、家内をメソポタミアコーナーに連れていった。

 

地下に潜るに連れて人影が少なくなり、ケペシュやシックルなどのアイテムがあることだけが目的のハンムラビ法典に近くなっていることの手がかりであった。

一時間も掛けてハンムラビ法典のある場所にたどり着いただろうか。

辺りには僕と家内以外の誰もいない。僕の興奮する息遣いと、荘厳な佇まいのほか、何も語らないハンムラビ法典と、僕を見つめる家内以外、何もそこになかった。

僕は学生時代からいつか見たいと思っていたハンムラビ法典を目にして、言葉を失った。

手の触れることも出来るような距離にいながらも、その巨大な玄武岩が、悠久の時を超えて今なおこの浮世に存在し続けるそれ自身が、僕の前にあることにただ声をもらすしかなかった。

 

どれほどそこに居たかは判らないが、僕がそこに居る間、誰もハンムラビ法典の周りには訪れなかった。

家内はハンムラビ法典について、「ハンムラビ法典のことについては何も知らないけど、それがそこにあることの奇跡性が感じられた。それとは別に、前から変わった趣味の持ち主だとは思ってたけど、あの空間の異様な空気を感じ取るに、やっぱり君の趣味って世界的規模で見ても不人気なのでは?」などと言っていた。

 

話をバビロニアに戻そう。

バビロニアは偉大な国ではあったが、帝国をアッシリアの前では次第に劣勢となり、臣従を余儀なくされた。

百年の長きに渡りバビロニアアッシリアに支配されていたが、アッシリアの偉大な王であるアッシュール・バニパル王(図書館とか作ったかぜはくの推し王)が死ぬとアッシリアが不安定な状況になったため、その時のカルデア(ウルとかウルクがあるバビロニア南部)総督であったナボポラッサルは反乱を起こすことにした。バビロンに入城したナボポラッサルはアッシリアからの独立を宣言し、バビロニア地方を全て占領下に置いた。

 

賢王にして覇王、アッシュール・バニパル王を失ったアッシリアは血みどろの後継者戦争が勃発しており、内乱に満ちていた。領土が広い上にそれをまとめあげることの出来る王が存在せず、メディア王国、バビロニアなどを初めとした連合軍がニネヴェの戦いで長きに渡り四方世界を支配し続けたアッシリアの寝首をかいた時、アッシリアは完全に有名無実なものになっていた。

 

アッシリア帝国を滅亡させた立役者は二人いた。前述のナボポラッサルと、メディア王キュアクサレス二世であった。

この二人の関係はこれ以前からズブズブであり、アッシリア陥落以後もその関係性は維持していた。

すなわち、ナボポラッサルの息子ネブカドネザル二世とキュアクサレス二世の娘アミュテュスの政略結婚だ。

 

ネブカドネザル二世が王位に就いた後、彼の目標は二つあった。エジプトとシリア地方の征服である。ナボポラッサルの死などがあり、エジプト攻略→停戦協定→停戦協定後速攻で起こった反乱の鎮圧を部下に任せる→父王の死後バビロニア王位を簒奪しようとする奴らを粛清するためにバビロニアに戻る→戴冠→エジプトに戻るという豊臣秀吉もびっくりの大返し×2をこなしたりしてエジプト征服は難航したものの、シリア征服は成功した。

前述の、イスラエル王国をディスっていたユダ王国にも艱難の時が訪れたのである。

この時に行われたのが「バビロン捕囚」だ。

ユダ王国の王であったエホヤキンネブカドネザル二世に敗北し、多数のユダ王国民と共にバビロニアへと連れていかれた。

エホヤキンも独力でバビロニアに勝てるとは思ってなかったのでエジプトを頼ったりしていたのだが、大言壮語するばっかりでいざ戦争という段になったらエジプトは全く動かず、ハシゴを外されて敗北した。

可哀想なのはこのエホヤキン、ケツモチを選べなかったことである。

単純に考えるとまたヤハウェが他の神(今回はマルドゥークとその息子ナブー)に負けた能無しなのだが、ここの所を旧約聖書がどう弁明したかというと、エレミア書二十五章でネブカドネザルを神の下僕に認定し、神がバビロン捕囚を命じたということになった。

ま、まあたまたまヤハウェも情緒不安定だったりしたのかもしれないしね?

 

ところで捕囚、わりとメソポタミアではよくあった。

アッカドなりアッシリアなりバビロニアなり、広大な帝国を維持するには植民が不可欠である。占領した土地を自国の民で栄えさせ、なおかつアッシリアとの戦いで荒廃した時刻の領土に移民を持ってきて人口を増やす。

バビロニアではついでに優れた技能を持ったものはバビロニアの事業に参加させられることになる。

ネブカドネザルは戦争も上手いけど、最も特筆すべきは世界征服しながらの建築事業への着手である。ネブカドネザルの手腕の凄まじいことが判りますね。

 

第一回バビロン捕囚では、実の所ユダの捕囚民は非常に楽観的であった。預言者たちは「アッシリアみたいにすぐバビロニアは滅んで今にエルサレムに帰れるよ!!」などと吹聴していた。

だがネブカドネザルエルサレムに対して全く容赦がなかった。徹底的にエルサレムを粉砕し、略奪し、蹂躙した。

モーセ以降守られ続けていた律法の櫃も消失した。神殿は完膚なきまでに破壊され、イスラエル民族の心の拠り所はなくなったのである。

 

かくしてダビデ家は滅んだ。

識字層はバビロニアにとられ、反乱の可能性がある氏族は断罪。

しかしバビロニアアッシリアが許さなかった自民族の風習と文化を伝承することを許し宗教活動さえ許した。

ネブカドネザルは寛大だったので、ネブカドネザルについて語ることをイスラエル民族に許した。だからこそ聖書の評価により、暴君として歴史に残ったとも言えるね。

 

なんなら待遇よかったとも言える。エホヤキンなんかは捕囚中に子供まで生まれて家族仲良く暮らしてるし、そのための生活費はバビロニア持ちだし。

ネブカドネザルが死んだあとは王族扱いだし……。

そして彼らは先祖の土地に帰ったとも言えるということだ。

ノア以降のヤハウェ教における最初の預言者であるアブラハムバビロニアで言うところのウル出身なのだ。

 

決して待遇がめちゃくちゃ悪いわけではなかった(アッシリアと比較して)。

 

しかし旧約聖書詩篇ではバビロン許さねえ。てめえらの子供を岩に投げつけて仕返ししてやるなどと呪っている。

おいおい、捕囚は神の意志じゃなかったんかよ。

 

バビロン捕囚は、ユダヤ人の宗教観を大きく変えた。

まずヤハウェイスラエル人の神ではなく、全知全能の唯一神、世界の創造者ヤハウェになった。

彼らのアイデンティティだったエルサレム神殿が完膚なきまでに破壊されたので、彼らは神殿より律法を拠り所とした。

この頃からもともと排他的だったユダヤ人はより一層選民思想をアゲていき、強固な民族同一性を保持するようになる。

……可哀想な民族だよな……。

 

エホヤキンの代わりにネブカドネザルが王に据えたゼデキアの話などもしたいのだが、紙幅の関係上省く。

 

 

しかしこの世は盛者必衰、諸行無常であって、バビロニア最強の王であるネブカドネザルが死ぬとバビロニアはズブズブと破滅への道行を辿り始める。

一説には晩年気が狂ったなどと言われているが、バビロニア最後の王ナボニドゥスとの混同が見られる。

まあ気が狂って死んだ方がロマンティックなのでそれはそれでいいよ。

 

そして今、これ程までに僕を魅了してやまないバビロニアという都市はこの世に存在しない。

現在も残るのは僅かなバベルの塔とされたジッグラトの階段と、解体された煉瓦の残骸のみである。

 

 

 

ナビュコドノゾールの上にもサロモンとか色々大きさの単位はあるのだが、一般的でないのでまた今度!

オリエントが好きだからすごく長くなっちゃった。

みなさん!オリエントはいいですよ。

僕と一緒に四方世界に思いを馳せようではないか。

 

 

参考文献

ja.wikisource.org

P・アイゼレ(1998) 『バビロニア』 アリアドネ企画

鏡恭介(2015) 『バカダークファンタジーとしての聖書入門』 イースト・プレス

あとは大体ウィキペディア

 

やるぞ!!アリストテレス式ダイエット

 ウエストがいつの間にか80越えてた。体重はあまり増えていないのだが……。

 すなわちこれは筋肉が落ちて脂肪が増えたことを意味する。これは僕としては度し難い事態である。

 そういうわけでダイエットを決意したのであった。

 しかし真面目にトレーニングをしていたのなんて10年も前のことで、その頃よりトレーニング理論は格段に進歩していて、僕の持っている知識などは既に最新の流行からすると竹槍的存在になっているであろう。

 

 しかし僕には余人のトレーニーにはない武器がある。

 

 哲学だ。哲学をダイエットに持ち込むのだ。

 

 最初に言っておくが、ダイエットに精神論を持ち込んだ奴は挫折するぞ!!!!!!!!!

 

 では如何にして哲学をダイエットに持ち込むのか?ここでいうダイエットに関する哲学とは、

 

誰でも絶対に痩せる!!一週間で結果が出るトレーニングメソッド

とか、

楽して部分ヤセ♡肌見せも怖くない美モテダイエット♡♡♡♡

とか、

米や麦などの穀類の食を断ち、水や木の実などで命を繋ぐ。

 みたいなのではなく、

 アリストテレスの記した『ニコマコス倫理学を用いる。

 

『ニコマコス倫理学』とは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが倫理と幸福について書き留めた作品群を元に息子であるニコマコスが編纂したものだ。

 倫理学濫觴として知られるソクラテスプラトンらに次いで古く、古典的価値も認められる他、こんにちでも倫理学の初歩として学ぶ価値のある書物である。

 

 まず、倫理とはなんであるか。

 あるいは道徳哲学とも呼ばれる倫理学は、言わば行動の規範となる道徳について考えを深める学問であると言えよう。

 素朴に言うならば、何を「善」とするかを追求する学問である。

 

 まるでかぜはくに向いてなさそうな学問であるとお思いかもしれない。しかしながらこの倫理学、非常に多様性に満ちている。

 何を「善」とするかについて、人々は様々な答えを持っている。

 例えば既に名の挙がったソクラテスプラトンなどは「徳」を「善」とした。

 「徳」、なんやねんという話はまあいいじゃないですか。長くなるし。

 

 仏教では釈迦以後六師外道とかいう人達が出てきて好き勝手これがいいと述べているし、中国の儒家などは「仁」こそ「善」であると言う。

 実利(ベンサム)こそ「善」であると言う学派もあれば、いや、快楽(エピクロス)こそ、幸福(アリストテレス)こそ、利己(ホッブズ)こそ、利他(最近の流行り)こそ、幸福には「善」なんかないよ派(カント)などと皆好き勝手に「善」について述べる。

 

 一方で善とか悪とか言ってる奴全員クソ(ニーチェ)学派もあったり、この際はっきり言っておくが(聖書でよくあるフレーズ)、何が「善」かは個々人の考えに任されている。

 その何を「善」とするかという問題に近付くのが倫理学なのだ。

 皆が自分の「善」を声高に主張するが、全員が一貫しているのは「どう生きるのがいいか」を論じていることだ。

 

 「どう生きればいいのか」考えた時、人は皆倫理学者になる。

 

 それが例え誰かに批判されようとも、批判されるのが哲学ですからね。

 

 異論は認めるが、僕の倫理学に対するスタンスはこう!!!

 

 あと僕の考えに一番近いのはニーチェ

 善悪とかクソ。そんなものがあるから人間は幸福を享受できないのだ。

 おい!やっぱ倫理向いてねえじゃねえか!!!!

 

 

 話をアリストテレス式ダイエットに戻すか……。(まあ戻らないんだけどね)

 

 トレーニングっていまいち続かないじゃないですか。

 世の中には誘惑が沢山あって、ゲームもしなきゃいけないし本も読まなきゃいけないしうまい飯も食わなきゃいけないしうまい酒もキメなきゃいけない。

 僕みたいなマッスルエリートはちょっと筋トレしたらすぐ元に戻るだろみたいな気持ちがあって、ついついトレーニングをせずに遊興にかまけてしまう。

 俗にいうところの、「悪いと判っていつつもやめられない」という状況なわけ。

 いや辞めれるよ???すぐ辞めれるよ??もう五回くらい禁酒に成功してるしな??????

 

 この状況を、アリストテレス的には無抑制(アクラシア)と呼ぶ。反対語に抑制がある。

 この辺判りやすくまとめると、以下のような形となる。

 

1.節制

 筋トレ超楽しいし今日も筋トレ出来て最高に幸せ!海外から栄養を効率的に吸収するヤバい薬を個人輸入して今日もボディメイクに勤しむぜ!!というすんこくんみたいな状態。

 

2.抑制

 昼飯食った後にちょっと小腹が空いたけどおやつを買って食べずに筋トレもしました!えらい!

 

3.無抑制

 昼飯食った後にちょっと小腹が空いたからおやつを買って食べました!!やらなきゃよかったな……。

 

4.放埓

 昼飯食った後にちょっと小腹が空いたからおやつを買って食べました!!明日は昼飯の後にラーメン食うぜ!!!!!

 

 もっと詳しく見ていこう。

 なぜこのように四類型に別れるのか。

 アリストテレスは、大前提が対立を起こすからだと述べている。

 判る言葉で言えアホこれだから哲学者はと思うよね。ごもっともです。

 

前提1 小腹が空いたので飯食ったけどラーメンを食べたいという気持ち

VS

前提2 メシ食った後にラーメンを食う奴はバカ

 

 このように前提がぶつかりあった場合、 二つの結果がある。

 

結果1  ラーメン食いたかったけど飯食った後にラーメン食うやつはバカだから我慢した!(抑制)

 

結果2  飯食った後にいかんとは思いつつもラーメン食った!我慢が出来んかった!反省している!(無抑制)

 

 じゃ節制と放埓はどうなんだという話になるが、その二つは前提がぶつからなかった場合にあたる。

 その場合の結果はこう!

 

結果1  摂取カロリーを計算して筋肉を育てることに幸福を見出しているので、ラーメンを食うという選択肢自体がない。(節制)

 

結果2  腹が減ったら飯を食うのは人間として当たり前なので、ラーメンを食わないという選択肢自体がない。(放埓)

 

 アリストテレスは抑制より節制の方がいいと言っているんだが、それは何故かというと苦しみがないから。

 これはどういうことかというと、

 飯食った後にラーメンが食いたい!でも我慢する!(苦しみを伴う)結局食わなかった!摂取カロリーもコントロールしてトレーニングも成功!(幸福)

 よりも、

 飯食った!(なんの苦しみもない)摂取カロリーもコントロールしてトレーニングも成功!(幸福)

 のほうがよいということです。

 

 そら判るよ?

 トレーニングとダイエットについては抑制や節制の状態にあることが僕は好ましいと思う。

 なら苦しみのない節制の状態にある方が確かによい。まあ判る。

 

 だが何においても節制が放埒に勝るとは必ずしもいえないのではないかと思う。

 

 放埓だってなんの苦しみもないじゃないですか。僕は当然ながら無抑制よりも放埓の方が上だと思う(苦しみがないから)し、抑制より放埓の方が上だと思う(苦しみがないから)。

 節制と放埓の違いは前提条件を何にするかの違いにしか過ぎず、どの選択が節制になって放埓になるかというのは簡単には言えないと思うな。

 

 放埒に思える選択が人生に於いて大きな意義を持つことも有り得るだろうし、ここまで言っておいてアレなんだけど節制、放埓のカテゴライズはその場で出来るものではない。

 人間は哲学する事が出来るので、何が自分にとっての幸福であるかは十分に考える必要がある。

 ダイエット中にフレンチフルコースのタダ飯チケットが当たったとして、ダイエットに重きを置くなら当然フレンチフルコースは食べるべきではないのだが、フレンチフルコースは美味いだけではなく料理における発見であるとか、経験、知見に繋がる幸福でもある。その幸福を得ることをこの場合節制の選択肢を採った場合は放棄することになる。

 機会損失ですよ。

 常に節制を選び続けることは人生全体の幸福の総量を減らすことに繋がる。

 幸福を大前提に置くなら、節制、放埒に拘泥せず、常に自分の幸福に繋がる選択について考えねばならない。

 僕はそれこそが哲学だと思う。

 またニーチェしてしまった。

 

 

 

 そんなわけでアリストテレス式を取り入れるとか言っておきながら最後にはアリストテレスの論をこき下ろして批判したわけだが、僕としてはアリストテレスはやはり偉大な哲学者であると考えている。

 まずアリストテレスは幸福主義の立場であって(ギリシャ系哲学者はだいたいそう)、最高の善を「幸福」であると述べている。

 ここが僕としてはアリストテレスを評価してる非常に大きい点なんだよな。

 僕の哲学は自分と自分の周りの幸福の為にあるから、(それが善であるかどうかはともかく)、幸福が最大最上の目的であり命題なのだ。

 

 アリストテレスは幸福について、理性の活動の完成によって実現されるものであるとしているが、それについて僕は諸手を挙げて賛成する。

 幸福に理性は必要だ。しかし理性の活動の完成は欲望の解放や暴力的な快楽の追求も踏まえてのものであると考えている。

 

 そんなわけでアリストテレスに倣い、節制の精神を持ってカロリーカットを心がけたりしよう。もちろんトレーニングもするぞ。

 根が放埓なのでどうなるか判りませんが……。

学生時代、酔って恩師に「僕の戒名つけてくださいよ!!!」って絡んだ時、「放埓居士」っていう戒名貰ったくらいですからね。

 

 

 

 

 

黛冬優子ちゃんの話

シャニマスやったことないだけど、黛冬優子ちゃんのことだけちょっと知ってる!!!重い女なんでしょ!!

 

昨日かぜはくが棲息している某掲示板をいつも通り徘徊してたんですよ。

掲示板には「鎖鎌スレ」とか、「スクトゥム(ローマ兵が密集陣形で使う大型盾)スレ」とか、「コンデンサスレ」とか、「仏教美術スレ」、「ジャイナ教スレ」なんかのニッチなスレが沢山立っていて、僕の知識欲のフックとなってくれる。

 

昨日見つけたのは、「黛冬優子アンチスレ」だった。

こういうスレは珍しい。

僕はやべー女の子とそれを取り巻く有象無象の悲喜交々が大好きなので、喜んでそのスレを開いた。

しかしその内容は僕の期待を裏切るものだった。

 

「あの女愛依様(同じユニットの黒ギャルアイドル)に近づきすぎだろ……」

「いつもツーショ撮ってSNSに上げやがって愛依様が迷惑がってんのが分かんねえのかよ」

「あいつ絶対このスレ見てるよな」

「握手会いったら黛冬優子のブースだけ如何にもな男ばっかで笑ったわ」

 

「ストレイライトで黛だけプロデューサーと寝てる」

 

などの、黛冬優子というアイドルにヘイトを向ける女性ファンのロールプレイが繰り広げられており、別の意味で胸が暖かくなった。

黛冬優子というキャラクターを愛している人達が想像力を持って直接的な黛冬優子を表現せずに、黛冬優子のいる世界を描いている。

まだインターネットに希望は残されている。そんな気分になった。

 

 

 

ウマ娘を見ましたのでチラシ裏に感想を書きなぐるやつです

ウマ娘のアプリが話題なので手慰みにやってみるかという気持ちになった。

ウマ娘についての予備知識はマジでほとんどなくて、ゴルシちゃんが以前から界隈でオモチャにされてたから興味が出て初めてみたというのもある。

 

競馬ならびに競走馬については全くの無知と言ってもよく、勝たずに儲けるの代名詞になってるハルウララとか一世を風靡した超有名馬の知識しかなかった。

したがって、没入感を高めるために隙間時間でアニメを見るかということになった。

 

にしてもウマ娘って馬主の機嫌も損ねられないし、厄介系フェミニストは絶対に敵に回すしで物凄く難しい文脈を持ってるよね……。

 

ウマ娘についてきらら系の系譜かと思ってたんだけど、実際には激アツのスポ根だったことを前述しておく。

 

主人公のスペシャルウィークちゃん(以下スペちゃん)の第一印象としては、「なんだか好きになれなさそうだな」だった。

いつも僕はこういうメインヒロイン的キャラクターはあまり刺さらない。

ただその印象は一話の最後で完全に払拭された。

「日本一のウマ娘になってお母ちゃんに見てもらう」という夢に向かってひたむきに走り続ける若者ってだけでおじさんにはもう涙無しには見られないような眩しすぎる存在なんだよね……。

彼女の事を完全に好き――というよりは応援したい!という気持ちになったのは、レースで負けたあとも微かに見えている可能性の光明を感じて笑顔を浮かべられるところで、ただ僕は一人の応援者として、スペちゃんを応援したくなった。

好物の人参ハンバーグにつきましては声出して笑ったよ。

僕個人としては人参が多すぎるハンバーグってあんま好きじゃないんだよね。人参の甘さで肉の香ばしさを阻害してしまうというか……。

でも彼女が自宅で食べてる人参ハンバーグはそういうのではなく、でかいハンバーグに人参が1本丸ごとぶっ刺さっていてよかった。

 

 

ゴールドシップ

インターネットで散々オモチャにされているのだが、このキャラアツいぞ!!

彼女って破天荒で自分の法律で生きてて、自由という快楽の依存者なのだが、その実多くの人を助けようとしていて、実際に人を救っている。

過去、仕事にマジになれなかったトレーナーは他のウマ娘たちに「私たちちゃんと指導して欲しいんで!」と言われて干されてしまい、ちゃらんぽらんのヒモ野郎みたいになって過ごしていたのだが、その時最後までチームに残ったのがゴルシちゃんだった。

こうした方がいいよとか、これがよくなかったとかそういうことは一切言わず、ただ彼女はトレーナーに向かって「オセロしようぜ」とだけ言った。

この一言でどれだけトレーナーが勇気を持てたことだろう。

失意のうちに道を踏み外す前に踏みとどまれたのは、間違いなくゴルシちゃんのおかげだといえよう。

二人の間には不思議な信頼感があり、トレーナーが各ウマ娘に的確な走り方のアドバイスをする際も、

「ゴルシ!お前は……好きに走れ!」

「ウィーッス」

だった。かわいいね。

 

あまりにも突拍子もないことするけど、それは彼女の中には理論的な筋道が作られている。

練習中に急に海に行ってヤシの実をカチ割ったりサバイブしはじめたと思ったら、「これはあえてレースから遠ざかることでレースへのフラストレーションを溜めてレースしたいって気持ちを盛り上げてんだよ」と懇切丁寧に説明してくれる。

ゴルシちゃんは誰に対しても距離が近いんだよな……自由主義の僕は非常に彼女のことを気に入っているぞ。

 

サイレンススズカちゃん

スペちゃんに異常な執着をされるウマ娘

復帰戦はマジで泣いちゃったよ。夢がもう一度見られて本当によかった。

スペちゃんに執着されつつ、その執着が最初は良くない方向に向きつつあった。だけれども彼女たちは自分たちの目標に向かって邁進する心を取り戻したことで、彼女は自分の恐怖心という大きな障害を乗り越えて本来以上のの強さを手に入れることが出来た。スペちゃんの執着は彼女にとって救いでもあったのだ。

さりげなくトレーナーの車では絶対に助手席に座るの可愛いね。

ところでこれはウマ娘の話とはあんまり関係ないんだけど、彼女は安楽死の例として非常に有名であるね。

 

 

グラスワンダーちゃん

スペちゃんに異常な執着を見せるウマ娘

ごはん食べながらサイレンススズカちゃんのことを好き好きいうスペちゃんのことを睨む。

翌日のレースでスペちゃんのことをぶっこ抜き、「私はスペちゃんだけを見て走りました……スペちゃんは私の事見てくれましたか?」というシーン、僕の好きなやつ!!

 

サクラバクシンオーちゃん

この子のことはゲームで好きになったが、併記しておく。

委員長キャラでそれだけでは全くピンとこないのだが、類を見ない溌剌としたキャラクターで、暑苦し……ひたむきでかわいい。

ッッッッッハイッッッッ!!!!!!!サクラバクシンオーですっ!!!!!!!!ッタァーーーー!!!!!ホリャアアアアアアーーーッッ!!!!!ハイ!!!わかりました!!!!バクシンです!!!!ヒャアアアア!!!!バックシーン!!!!!スピード+委員長力=バクシン力です!!!!!えっへん!!!!!!!!!

こんなキャラ。

彼女は長距離が走りたいのだが、全く適正がないので1200mのレースを三本走れば3600m走ったことになって長距離走ったのと一緒だよ!という詭弁に騙されてずっと短距離を走らされている。

 

トレーナー

このアニメで一番好きなキャラクター!!!!

ツーブロで後ろ髪にしっぽを作っており、無精髭を生やした三十路がらみの男。

常に棒付きキャンディを咥えており、甘党の様子。

基本金欠なのだが、毎回ウマ娘たちに人数分おやつを奢ってあげたり、ご飯に連れて行ってあげたり、手料理を振舞ったりしているので常に金欠。

バーで同僚に「あちらのお客様からです」をした後に金をせびっているのは非常によかった。

同僚トレーナーは彼に好意を向けている節もあるのだが、そこがまたエモであるね。

 

これはフロイトが言うことを元に導き出した私個人の考えだが、こういう常にタバコとか飴ちゃんとか草とか咥えてるキャラは口唇欲求が強く、愛情を受ける面で何かしらの問題を抱えているといってよく、したがって受けである。

 

でも彼はトレーナーとして本当にすごく、非常に感銘を受けた。

トレーナー室は彼が事務する部屋なんだが、たくさんのソファや明らかに彼の趣味ではなさそうなかわいいクッションがたくさん置いてあって、ウマ娘たちがなんでもない時に大挙して押し寄せ、語らうのだろうなということが想像出来る。

彼女らに彼が信頼されていることの証左であって、また彼はそのようなウマ娘たちが集える場所を作ろうとしている。

レースに負けたスペちゃんに寄り添って、一緒に悔しさを叫ぶシーンなどもまたをかし。

 

アニメにおける合宿の回は本当に素晴らしかった。

彼は自分のチーム「スピカ」を二つに分けた上で、「馴れ合い禁止」というルールを掲げた。

合宿終了時には対抗戦を行うという。

近頃チーム内に広がりつつあった、悪い意味での和気藹々としたムードを払拭するためであった。

しかしながらこういう策は上手くやらなければチーム内の対立を産んでしまい、ギスギスした空気を作って人間関係をズタズタに破壊してしまう。

 

常にイチャイチャしてるゴルシちゃんとメジロマックイーン、ライバルを自認しているウォッカダイワスカーレット、スペちゃんとサイレンススズカを分けて、競い合わせるようにした。

 

このチームで最も大きい問題だったのは、かつてのチームのエースであるサイレンススズカの故障、ならびにその故障からメンタル的な問題で立ち直れずにいることと、そんなサイレンススズカに執着する現エーススペちゃんはサイレンススズカを気遣いすぎることでレースに集中出来ず、思うように成績を挙げられていないことだった。

 

サイレンススズカは普通に走っても問題ないのだが、恐怖心や、ほかの皆が自分に合わせていることが申し訳ないという煩悶から全力を出し切れずにいる。

ここでもゴルシちゃんはサイレンススズカに「一人で走っててもつまんねーだろ!一緒に走ろうぜ」と声を掛けるなどしていて、こいつ頭わいてるけど本質的には良い奴なんだなという感じ。混沌/善かな。

 

そらチームの中で怪我してるやつがいたら皆そいつのこと気遣ってしまうよ。それが正常なことですよ。それ自体が悪いことでは決してない。

 

ただ、アスリートとしてはそれでは駄目なんだ。

 

チームスピカはトライアスロンで雌雄を決することとなった。

一着になったウマ娘にはトレーナーがポケットマネーで高級(?)ホテルのスイーツビュッフェをおごる!とのこと。

 

トレーナーの意図を理解してかしないでか、各ウマ娘たちは我先にとゴールをめざす。

 

しかしサイレンススズカに異常な執着を示すスペちゃんだけは、常にサイレンススズカを気にかけながら走ってしまう。

サイレンススズカがちょっと自転車をガシャってしまった時などは、「スズカさんんんん!!!!」などと食い気味に心配して駆け寄り、助け起こそうとしてしまう。

ところで馬が自転車に乗る意味あります??

 

 

そこにトレーナーが現れて、スペちゃんを強く窘める。

お前はレースの途中で立ち止まるのかと。

サイレンススズカにも怪我をした時に誓ったもう一度レースに出るという約束はなんだったんだと。

「お互いの為になりたいなら、お互いをライバルだと思って高めあえ」

こんなセリフは、アニメが始まる前のちゃらんぽらんなトレーナーからは決して出なかったセリフだよな。

 

トレーナーはスペちゃんに言う。

「スズカにレースに出て欲しいなら、お前は本気で走れ。今度はお前が背中を見せる番なんだ」

 

話変わるけどフレネミーって居るじゃないですか?

友好関係を示してきつつ、実は敵対者だというやつです。

スパルタ教育とスパルタ教育の皮を被ったフレネミーの違いってここにあるのだなあということを理解した。

このトレーナーは二人に前を向かせるために、今回はスパルタ教育の手段を取ったんだな。

スパルタ教育の目標が定まっていて、トレーナーはその目標を達成するために働きかけた。

こういう策はチーム内不和を産む危険性もあるし、自分がスパルタに徹し切ることの苦しみもある。

この手段をとるにあたって、トレーナーの深い愛情と信頼がウマ娘たちに対してあったのだということを理解して僕は泣いてしまったよ。

 

「日本一のウマ娘になる」という夢を思い出して走り出すスペちゃん。そして恐れを振り切って全力でかけ出すサイレンススズカ

彼女らの克己心に、僕は目が覚める思いだった。

 

僕はこれまでウマ娘たちの夢に向かって走り続ける姿に勇気づけられるとともに、失ってしまった情熱を惜しんでいた。

今の僕は楽に生きることばかりを考えていて、彼女らのように挑戦して生きることに命を燃やす喜びを忘れてしまっていた。

楽に生きることこそが持続可能性のある幸福の追求だと考えていた。

しかし彼女らの己を奮い立たせる表情を見て、僕も昔彼女らと同じ表情をしていたことを思い出した。

 

持てる全ての力を尽くして、自分の描く理想へとたどり着くため、ひたすら自らを鍛え上げていたあの喜びを!

 

 

なんだかんだあって全員スケキヨになり、全員リタイアしたのだがトレーナーは全員にスイーツビュッフェを奢っていた。

やっぱ善良な人間なんだよなこいつも。

 

フィクションであっても信頼と愛情でもって二人を立ち直らせたトレーナーを僕は心から尊敬する。彼もまたこの物語で成長している一人であることが判った。

 

いい話だった。

 

       

 

ゼルダ無双の話 ミファーちゃんの話書いたらもう満足したわ黙示録

途中まで真面目にブログ書いてたんだけどミファーちゃんのこと書いたらもうまんぞくしちゃって筆が進まなくなっちゃってさ……。

クリアしたんですよ。ゼルダ無双

最終的に僕はこのゲームについては65点から70点だと思う。

 

最初の流れは本当によく、丁寧にストーリーメイキングをしていたのだが、後半になるにつれ急ぎ足になり、本来の実力をもって描けばエモエモのエモで完成させられたであろうものが、コロナとかで様々な要因が重なったとはいえ、不完全な状態で完成品としてしまったことについては、素直に残念な気持ちがあるばかりである。

 

ただ、最終的にリンクくんとミファーちゃんはくっつかず、隣に寄り添うだけだったことは大きく評価する。

 

気持ち程度にデスマウンテンの話を書いて締めくくりとしておこう。

 

デスマウンテンの中腹、ゴロンシティに暮らす民、ゴロン族。守りの力がすげえダルケルというおっさんを神獣ヴァ=ルーダニアの繰り手にすべく一行はデスマウンテンへと向かった。

 

デスマウンテンという名は実に普遍的な名である。

しかしながら、山という場所に死の属性を見出すのはアニミズム的発想が強いということが出来るだろう。

山という場所は人が死に非常に近い場所だと断言できる。

対象となる山の規模にもよるが、どのような山であっても、「死」の概念を一定以上に持っている。

それは、山という場所が人が暮らす通常の地域ではないことが一番の原因である。

たとえば、マッターホルンに単独無酸素で上って凍死したとか、ビキニで登山してたら凍死したとか、そういう話は想像に難くないだろう。

もっと言えば、通常の地域でないことは、言い換えれば異常な地域であるということが出来る。

本朝の例を挙げてみよう。

記紀を紐解けば、まず思い当たるのは黄泉の国と呼ばれる死者の住処についてである。

この「黄泉」という語について、漢語では地下の泉を意味するものである。諸説あるが、ヨミという大和言葉があって、それにこの黄泉という字を当てたものであるという説がある。この場合のヨミという言葉にもまた解釈が様々あるが、その中の一派として、これを「ヤマ」からの変化であるとする説がある。

また、古事記の舞台の一つである出雲地方には、まさに古事記に登場する黄泉平坂なる場所がある。この場合の坂という語にもまた解釈が様々あって、山の上り始めである坂とする説と、山と平地(ムラ)とのサカイであるとする説がある。なんにせよ、特に古事記では死者の国である黄泉の国を山の中に求めがちである。

 

日本仏教の話をしよう。日本仏教というのは、仏教伝来以前からあったとされる祖霊信仰の流れを取り入れた土着宗教であり、本来の仏教からはかなり変容したものとなっている。

浄土という思想があって、どういうものかというと宗教者が大体みんな考える宗教家の楽園みたいなところを指す。

煩悩や一切の穢れがなく、地獄がなくて、畜生もいないサイコーに清らかな国で仏とかが住んでてみんながハッピーに暮らしている。この世のどっかにあって、そこってすげえじゃんみたいな発想だ。

 

余談だが、僕ならパスポートが仏さんのポケットマネーで用意されて永住権くれるって言われても多分いかないだろうな。

だってそこには天女とかはいるらしいけど、煩悩とか一切のケガレがないならミファーちゃんみたいなヤベー女いなさそうだし、酒の肴に困るからさ……。

たまにはエゲツなく穢い人間も見ておかないと、人間としての幸福ってボヤけると思うのよね。

人々の煩悶とした苦しみがあるからこそ、僕は対比として幸せを実感できるし、煩悶それそのものが甘露として楽しみの一つでもあるからさ。

みんながみんなハッピーで幸せに暮らしている国は理想だと思うし、出来るなら僕もそういうものを作りたいと願っている。

でも、配信者の彼女になりたくて配信者をつい拉致監禁しちゃう子の話とか、いい年して配信者の正妻(?)を自認していて、ほかの誰にも配信者に近づいてほしくない子の話が読みたくなった時、どうすりゃいいのって話なんですよ。

多分浄土には僕が好きなタイプのフィクションは生まれ得ない(多分仏さんの思想からするとケガレ認定されるから)ので、僕はそんなとこに行きたくないです。

 

 

話を浄土に戻そう。

日本においてはこの浄土が山中の中にあると言い出した人たちがいた。密教系と浄土教系の人たちです。

「生」に重きを置いた密教系は、僕は単純に思想として尊敬できる数少ない日本仏教なのだが、「いかに死ぬか」に比重が傾いた浄土系は……。まあ美しいね。死に方の美学というのは。融通念仏とか踊念仏とかいうキワモノ念仏をやり始めるのも、面白い。

比叡山に寺を作りまくったり、仏教と日本古来の信仰とされる山岳信仰などが混ざって修験道なんかが発達する。この修験道の山伏たちは山の中で修行して悟りを開くのが目的なので、山の中でどうなろうがお構いなしだぜ!みたいな荒くれものの集団である。

この辺から、世界中に普遍的に存在する山への畏怖が、世界から取り入れられた宗教と本朝独自のプリミティブな原始宗教とが混ざり合い、信仰という形を持ってより「死」と密接になっていく。

 

つまり山の中というのは聖なる地であったり、死や臨死が横行する異界であるといえる。

このあたりは小泉八雲なども述べているところであるね。

山中異界という言葉が存在するように、デスマウンテンは日本中のいたるところに存在すると言っていいでしょう。

竹取物語』などで富士山が不老不死の薬を放棄する場所であったり(死なないことを否定する山=死の山)、9世紀に天台宗の開祖最澄の弟子が開いた霊場恐山の例などは、誰の耳にも知らぬ例ではないはずだ。

 

ここでの共通点を言えば、富士山も恐山も活火山ということが挙げられる。御嶽山なんかも活火山であり、こちらも修験道系の霊場となっている。

 

本朝の例においてまとめれば、山、とりわけ活火山というのは信仰の対象となってきたし、同時に死の概念に非常に近い存在であった。

 

申し訳程度に海外の例を挙げれば、古代から現在までオアシスとして存在し続けているエジプトのシワ・オアシスなどには(アサシンクリードで見ましたね?)、まさに死の山と呼ばれているネクロポリスがあるし、世界遺産であるトルコのパムッカレなどは同様にネクロポリスとして非常に有名である。

また、それ以上に有名なあの「王家の谷」はどこにあるか。

 

活火山を死の山とみる見方は、決して日本独自のものではないことを明記しておくが、そうであってもゼルダの伝説初期からあり続けるデスマウンテンというモチーフは、非常に日本人的死生観の影響が強い産物ということが出来るだろう。

 

じゃあそんなとこで暮らしてる奴らってなんなの?

人間じゃないですよ。

ゴロン族を見てください。ブレスオブザイワルドでも体中に火が付かないようにヤバい薬剤を塗りたくったり、対策をしないと消し炭になっちゃうような場所で平然と暮らしてる種族だ。

ゲーム内では描かれていないけど、ゴロン族って普通に平野の民からすると畏怖の対象だよな。

たまに人里に降りて商いしてるゴロン族とかもいるけど、基本的にはゴロンシティ(シティというのもおこがましいバラックの群れ)の中で暮らしていて、質朴で純粋な、乱暴な言い方をすればあまり知性を感じない民族だ。

この辺もいわゆる「山の民」に対する一種蔑視、一種神聖視のようなものに通ずるものを感じるね。

 

他の種族を見て下さい。ハイリア人はハイラルを支配する民族で、絢爛なハイラル城、文化的な村々、発達した技術を有している。

ゲルド族は過酷な環境に暮らしていながらも、環境に順応し、独自の文化を持っている。ハイリア人とも対等な関係を築いている。

ゾーラ族の里の美しいこと!

夜光石をちりばめた建物は夜の静寂にうっすらと煌めく幽玄な雰囲気があって、一種異様な美をたたえている。そしてそこに暮らすやべー女ミファーちゃんもいる。

リト族は焼いて食ったらうまそうだし、見た目がケモくてそういう性癖の人たちに刺さりそう(???)。

 

そんなわけでゴロン族ってちょっと異質な種族だと僕は思っている。

今時酋長政やってるし。

 

「ダルケル様は頼まれたら断らないのが信条だ。よろこんでやらせてもらうぜ」

絵にかいた豪傑みたいなふんどし一丁のおっさんダルケル。

へー。任天堂の株買ってくれねえかな。

しかし神獣はデスマウンテンの火口で魔物に囲まれて棒で殴られているらしく、火口まで行くことに。

 

ダルケルのことあんま使ったことないんですよ。

使用感は、なんというかモッサリしていますね。

石の斧をぶんまわしてイッチャホイチャできます。

ぶちかましまくってるとダルケルの暑苦しさで所かまわずマグマが湧いて出てくるので、そのマグマを活性化させて周りを大爆発みたいなことも出来る。

あとガードしてると完全ノーダメなのは強いな。

 

ステージをクリアするとリンクくんのことを急に相棒認定してくる。一緒に飯を食い、背中を預けるにふさわしい男だとか。

 

そして神獣モード。ヴァ・ルーダニアはトカゲさん型のメカなのだが、ヴァ・ルッタと操作は似たり寄ったりだ。

Rで溶岩弾を打ち出し、XRで範囲攻撃。Yでボギャー(通常攻撃)、Lでカウンターなのだが、このカウンター性能がちょっとゴミ。おててをちょっと前に出すだけで、相手の攻撃に合わせてタイミングよく出さないと無意味になる。ボギャーしてるときは無敵だからボギャーする方が上だな!

 

ダルケルは超乗り気なので二つ返事で繰り手になってくれる。

相棒認定したリンクくんにダルケルはごちそうしてくれるのだが、ゴロン族のごちそうは岩なので……。

文化的摩擦ってやつだね。

でもリンクくんは岩を前にしてもボリボリ食らいつくからすごいよな。

 

次行きましょう。

次はゲルド地方、Tipsを見ていると、ウルボザは亡きゼルダのお母さんの親友らしい。

おい!そんな超重要情報をサラッとTipsでいうやつがあるか!

 

ゼルダ一行がゲルドの町へ向かっていると、突如として覆面和装の集団に襲われる。なんとかやり過ごしてゲルドの町近郊まで歩を進めた一行だったが、今度はゲルド族にも命を狙われる。

敵方の司令官はウルボザ!

 

ブレスオブザワイルドでゼルダを「お姫いさま」と呼んで庇護し、慈しむようなまなざしで抱いていたウルボザとは思えないですね。

ゲルドの町まで突入し、族長の館にまで押し寄せるとウルボザ本人に刀を向けられる。

しかし「おいおい、死ぬわアイツ」というタイミングで助けに入ったのは刀からじゃんじゃん雷を飛ばす本物のウルボザであった。

偽ウルボザはガノンの走狗であり、シーカー族の別派閥、イーガ団の首領、「コーガ様」だったのだ!!!

 

このコーガ様、なんというかちゃらんぽらんなおっさんで適当に生きてんだけど、組織の長としての求心力(だけ)はめちゃくちゃあるらしく、部下に信奉されている。腹心の部下スッパにも心酔されており、クソマジメな部下とちゃらんぽらんなおっさんでカワイイ。

コーガ様もスッパのことを信頼して重用しており、ここの関係性、よい。

 

イーガ団を追っ払うためにモルドラジークを呼び出して蹴散らそうとするのだが、モルドラジークを呼び出した後はモルドラジークをおいといてイーガ団を相当しろというオーダーに変わるわけだが、ついでだしモルドラジークも倒しておいた。

宝石出してくれるしうまいぜ。

 

ウルボザはリンクくんと同じように片手剣と盾装備なので、盾ガードなども使えるし汎用性が高い。また、電撃ゲージを集めることで好き放題電撃を飛ばせるのでそれもまたよい。

家内はウルボザが使いやすいとのこと。僕はちょっと難しかったな。雷ゲージが切れたらその辺で充電しないといけないので、路地裏で盗電してる若者みたいになる。

 

 

いやまじでこのゲームについては完全版がDLCで出たらそれが一万円でも買うよ。

完全版の要件とは、

  • ミファーちゃんとリンクくんのエモイベント充実
  • 各キャラの掘り下げと装備の充実
  • 中盤以降のストーリー拡充
  • 結局誰が白いミルポワを遣わしたのか問題の解決
  • アストルがゲルドマーク背負ってる理由

などなど。

コロナで納期前に人員ごっそり足りなくなったみたいなのがありありと感じられて、これは惜しいの一言です。

株やってる場合じゃないよコーエーテクモ

ゼルダ無双の話 言葉はなくとも頷きだけで全てを理解する幼馴染黙示録

 白いミルポワちゃんの正体が不明なので、一行は中央ハイラルにある王立古代研究所に赴くこととなった。

 

 
ちなみにこれはうちでミルポワを仕込むときに使っているブレンダー兼フードプロセッサです。

 

 この古代研究所、ブレスオブザワイルドでは完全に滅んでんだよな。

 非常に意味ありげな立地で、イベントとかあってもよさそうなのにコログがいるだけで特に何もない寂れた場所だった。

 この厄災の黙示録の時代では当然のように現役で研究所がある。

なるほど、厄災前はこんな立派な研究所だったのだなあ。

 

 ぽよぽよぴこぴこ言いながらマユゲオブザワイルドことゼルダにじゃれつく白いミルポワちゃん。

 かわいい。

 インパにちょっかい出されても全部回避する白いミルポワちゃん。

 かわいい。

 

 その時、突如空中から現れた邪悪なガーディアンが眉毛を襲う!!

 このガーディアンのピピピピピピppppppppみたいな音、正直恐怖を煽るよね。

 慣れたらこの音だけで目を瞑ってても倒せるけどさ。

 リンクくんが渾身の盾弾きでビームを逸らす!

 石とか矢とか弾けるのは判るけど、光線を弾くのってどういう原理なんだろうね。

 回し受けみたいな……?熟練した空手家の回し受けは火炎放射器も防ぎきるというしな。

 

 この面ではゼルダを護衛しながら進むところから始まる。

 普通にでかいミルポワが追いかけてきてビーム撃ってくるのだが、ここのでかいミルポワは倒せるように設計されていない。

 ので、ハイラル兵を殿にして逃げつつでかいミルポワを倒す為のギミックを起動させる必要がある。

 白いミルポワちゃんの不思議な力で壊れてるミルポワを直してビームを撃たせることが出来るので、二台ほど起動してでかいミルポワにパチキを入れることとなった。

 

 道中、いくつかの拠点が制圧されてたりするが、別に解放しなくてもクリアは出来る。

 殿のハイラル兵が「ぐわっ もう限界だ」とか弱音を吐いたりするが、別に見殺しにしても問題はない。

 あまりにも放置し過ぎたり、ガーディアンに引っかかったりするとNPCのインパちゃんも死ぬぞ。気をつけよう。

 

 そうこうしてると眉毛が「私も戦います!!!」などといきり立って参戦するのだが、別に使わなくても問題ない。

 

 リンクくんを使っていた家内が、「ゼルダの操作性どんな感じ?」と聞いてきたのだが、僕は思ったままのことを答えた。

 

BASARAの大友宗麟みたいなやつ

 大友宗麟みたいなやつです。ようこそザビーランドへ。

 

 最初のプレイでは実はまったくレベルを上げず、武器の強化もせず来てしまった。

 そのためでかいミルポワがかなり強く、ビームでごりごり削られて敗色濃厚となってしまった。

 

 しかしそこで我々は思いついた!!

 一人がビタロックをしてビームを妨害し、でかいミルポワが停止したところを二人で囲んで殴る!!

 ビタロックの効果が切れたところでもう一人がビタロックを発動し、二人で囲んで殴る!!

 この繰り返し。いつまでたってもミルポワはビームを撃つことが出来ず、気が付いたら死んでいる。

 まるでいつまでたっても階段を登れないポルナレフのように……!

 ポルナレフ階段戦法と名付けよう。

 最も恐ろしいものの片鱗を味わえ!!

 

 辛くも勝利し、一行は王立古代研究所の中へ。

 古代兵器の専門家であるロベリー(内田裕也ルー大柴を足して二で割ったかんじ)とプルア(幼女変身願望)によると、白いミルポワちゃんは「未知の技術」で作られた未来の産物であると言う。

 その証拠に、白いミルポワちゃんの記録領域には「ウツシエ」と呼ばれる画像データが残っていた。

 厄災ガノンによって滅ぼされたハイラル城の光景がはっきりと映し出されていたのだ。

 

 これ以上のことは判らん!!ということでいったん解散!!

 

 それはそれとして厄災ガノン復活するのはやばいので、ガノンに対抗するために「神獣」と呼ばれるメカの操縦士を探すことになった。

 

 それぞれ、オルディン地方のヴァ・ルーダニア、ヘブラ地方のヴァ・メドー、ゲルド地方のヴァ・ナボリス、ラネール地方のヴァ・ルッタの四神獣を起動させてガノンと戦わせるという形。

 

 まず最初はどこから行くかということについてですが……

 こんなんミファーちゃんのおるラネール地方からに決まっとるやろがい!!

 行かな嘘やろがい!!!

 

 というわけでゾーラの里へ。

 

 ゾーラ王ドレファンに、「ミファーちゃんを(神獣の繰り手に)くれ!!」と言いに来た一行。

 まあドレファン王がどう言おうがもうミファーちゃんの心は既にリンクくんのものなんですけどね……。

 

 ゼルダは癒しの力持っているミファーに戦線に加わってもらえれば、大きな助けになるという。

 しかしドレファン王は逡巡する。

 当然ですよね。嫁入り前の大切な姫をわざわざ戦場にやることはない。

 

「ミファーを神獣の繰り手にすることは、相応の危険がある。しかもハイラル陣営にはガノン妥当に必要な退魔の騎士もいなければ、その他の備えも整っていない。

娘をそんな危険な戦いに赴かせるわけにはいかない」

 という。

 至極当然すぎてぐうの音も出ねえ。

 よくこんな状態でお前のとこの姫を決戦兵器のパイロットにするからよこせなんて言えましたね?

 人の心がないのか?ハイラル王は?

 

 そして場面がかわって……。

 

 ゾーラの里にある人気のない橋の上で、リンクくんとミファーちゃんが逢い引きをしている。

「リンク、また背が伸びたんだあ」f:id:kazehaku:20210212012320j:image

 た、たまらねえなこのボイトレ!!

 無言なリンクくんを見て、

「でも、かわらないねえ」

 というミファーちゃん。君のボイトレも二年前(ブレスオブザワイルド発売時)から変わってなくて安心したよ。

 

 リンクくんは特に何も喋らないのだが、二人は再会を喜んでいるように見えた。

 これこれ!こういうのを時間かけてゆっくり描いてくれ!!

 親愛の情がどんどん愛情に傾いて、愛でリンクくんを縛りつけようとする自分を許せなくて自虐するミファーちゃんをもっと僕に見せてくれ!!アアーーッ!!!!

 

 しかしそこにゾーラの伝令兵が。

 雷獣山から魔物の群れが押し寄せ、ゾーラの里に押し寄せようとしているらしい。伝令兵は心配そうに、「シド王子はご一緒ではないのですか?」と聞いてくる。

 

 もしかしてイチャイチャするのに意識が行っている間に弟がどっか行っちゃったやつかな???

 

 僕はそういう恋心で視野が狭くなってしまう女の子のこと、(エンタメとして楽しむ分には滑稽でポルノとして優秀なので)好きですよ。

 

 慌てるミファーちゃんを見て頷くリンクくん。

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 ミファーちゃんも強く頷く。


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 おい!目と目で分かりあっとるやないか!!!

 こいつらどこまで行っとんのや??

 深く判りあってしもとんのんとちゃうのんけ????

 おい!手の一つでも握らんかいや!!!!

 はよせい!!

 抱け!!!!

 

「あなたは里の皆を。シドのことは私たちに任せて」

 決断的な意志を感じる佇まいからは、彼女の指導者としての萌芽を感じさせる。

 しかし伝令が去った後、寂しげにリンクくんを見ているのを、僕は見逃しませんでしたよ……。こういう細かい表現いいですよ。もっとやってください。こういうのを待ってたんですよ。

 

 

 さて戦闘パート。

 

 ゾーラの里にわらわら出てくる敵を倒して、味方のゾーラ将兵を回復する。

 しかしなんだろう。僕はこのゾーラ将兵がエレキウィズローブの雷魔法に打たれてビリついてるのを見て、なんだか嫌な予感がしたよ。

 僕の鋭敏な嗅覚が、一瞬漂ったクソゲーの空気を捉えたのである。

 

 まあそれはいいでしょう。

 試しにミファーちゃんを使うこととする。

 ミファーちゃんの性能に関しては、普通に戦う分には別段使いやすいとは言えない。使用する武器が槍なのでリーチが長いかと思いきや、めちゃくちゃ長いわけでもなく、普通に戦う分には巻き込みも大きくはない。

 しかし彼女にしか出来ない重要なアクションがある。

 それは、タンクだ!!!

 

 ZRボタンでその辺の好きなところに噴水(つまり英語で言うところのファウンテン)を出現させることが出来、この噴水にはライフを回復させる効果がある。

 もう一度ZRボタンを押せばミファーちゃんは噴水までワープし、その場で飛び上がりつつ攻撃する。

 ZRボタンを更に連打すると更に飛び上がり、範囲攻撃を行う。四回飛び上がるとライフが半個回復するので、手傷を負った時は誰もいない端っこでバチャバチャ水浴びしていればよい。すぐに回復するであろう。

 

 このバチャバチャは敵の巻き込み範囲が大きく、必殺技ゲージも相応に上昇する。

 必殺技は自分と周りのライフを4回復させるから、込み入った戦場では生命線になるぞ。

 

 あと、噴水を出す時にミファーちゃんは、

「もうやめて!!!」

「近寄らないで!!!」

「守護(まも)らなきゃ……」

 などと言い、不安定なヒス女みたいでいい。

 自分の有利陣地をどこにでも作れるので、セリフも相まってどこにでもジャングルジムを出せる本部以蔵的存在である。

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 さて、キャラ交代時の掛け合いが、リンクくんだけ呼び捨てなのは前々回の記事でもう述べた。

 しかしながらその言い方がな、あのな……。

 

「リンクぅ?」

 

 その呼び方!リビングで寛ぐ旦那にかけるような呼びかけ!!

 他の誰もリンクくんにそんな距離感で話しかけないんだよ……。

 ウッ(胸が痛くなって倒れ込む)

 

 ところでこの面、敵は二段階の啄木鳥戦法を用意している。

 かなり戦力差があるのに、敢えて兵力を分けて奇策を採るの、殺意があっていい。

 まあ各個撃破されるんだが。

 

 敵は電気属性が多く、ほっといてチンタラ雑魚狩りしてるとゾーラ将兵は普通に「ぐわっ もう限界ゾラ」とかいってバタバタ死んでいく。

 助けなくても問題はない。

 

 

 

 そうこうしてるとシド王子の目撃情報が雷獣山付近であったらしいので、リンクくんたちは急行する。

 

 ブレスオブザワイルドでも屈指の強敵だったライネルを前に、(正直風のカースガノンより強い)かたかた震えるシド王子。その手には自分の身長の三倍くらいあるゾーラの槍を構えている。

 自分も戦おうとしたのだね。かわいいね。

 

 ライネル戦は相手がかなりタフなので、敵の攻撃を如何にシーカーストーンで止めてスマッシュを取るかにかかっている。

 敵の攻撃を防いでもウィークポイントゲージを削らないといけないのだが、ライネルはウィークポイントゲージを削る時間が短い。

 そこで起用されるのがミファーちゃんですよ!!

 

 彼女のリモコンバクダンは超多段ヒットするので、リンクくんでライネルの攻撃を止めてすかさずミファーちゃんに交代し、リモコンバクダンを使用。

 リモコンバクダン使用中もミファーちゃんは動けるので、ミファーちゃん自身も攻撃して一人でタンデム攻撃が出来る。

 ごっそり削れるぞ!!

 そしてリンクくんからミファーちゃんに交代した時の、「任せてリンク!」がかわいいね……。

 二人の息のあった連携、尊い

 ある程度ダメージを与えるとライネルは撤退する。

 

「しどー 一人でたたかうなんてえ」

「そんしー! 見失って しまったわ」を彷彿とさせる。

 

 シド王子は首から笛かけてるのだが、さてはこの子すぐどっかいったり迷子になる子だな?あるいは防犯ブザー的なものなのかもしれない。

 

 シド王子はブレスオブザワイルドでも笑顔が眩しいキャラだったが、幼児シド王子も同じように歯を見せて笑うからかわいい。

 にっこりきらーん!

 ここから姉の死を乗り越えたり、様々な経験があったりなどしてあの自己肯定感の高いあんちゃんに成長していくのだろうな。

 シド王子主人公のスピンオフとか人気でそう。

 チンクルのスピンオフがあるならシド王子のがあったっていいよね。

 

 

 しかしライネルは囮だった!

 一行がライネルにかまけてる間にゾーラの里を更に悪夢的な数の魔物が襲う!

 

 ドレファンは将兵たちを率いて自分も前線で戦っているのだが、ここまで攻め込まれてしまってはもうこの里はだめですね。

 

 そこで白いミルポワちゃんはミファーに神獣に乗れと促す。

 モリブリンの凶刃があわやドレファン王に!というところで神獣ヴァ・ルッタのお水攻撃が泡を吹いたのだった。

 

 ここがこのゲームの一つのウリらしい、神獣モードなのだが……。

 

 基本的な操作はジャイロとスティックで行い、各種ボタンには神獣の技が割り振られている。

 ジャイロってだけでスカイウォードソードの悪夢が蘇るね。

 しかしそこの精度はまあ悪くはない。

 ミファーちゃんが乗る神獣ヴァ・ルッタはでっかい象さんだ。

 戦闘に使える技は、Yボタンででかい鼻アタック(通常攻撃)、Rで氷弾(通常遠距離)、ZRで氷の千本槍(ロックオンして範囲攻撃)、Lでバリアとなっている。

 

 神獣モードにはいくつか問題点があると思っている。

 まず神獣の移動速度がめちゃくちゃ遅い。

 でかい鼻アタックが発動中無敵で乱発できるため、氷弾の存在意義が薄い。

 バリアが無条件で張れる上、このバリア迎撃までしてくれるのでずっとバリア張ってたら死なない。

 バリア張りながら敵に近づいてでかい鼻でボギャーを繰り返す作業ゲーの感が強い。

 

ゴエモンインパクトで見たなこれ……。

 

 普段は評価あまあまな家内も、「おもろいか?これ」と苦言を呈していた。

 擁護出来ないというのが素直な感想だ。

 

 これ以降家内は神獣モードが来る度に、「ヒッ  神獣モードだ」と拒否反応を示すようになってしまった。

 

 見方に拠れば、一瞬で千体とか二千体とか殺せるので、そらこんなん奪われたらハイラルも滅ぶだろうという気持ちにはなった。

 

 ゾーラの里を救った後は、ドレファン王も厄災と戦うことはゾーラにとっても死活問題だということに気付いたのだった。

 そんでミファーちゃんを連れて行ってもいいよということになってやったーとなる一行。

 そういや四英傑の中で唯一保護者がいるんだな。

 必ず無事で戻ってこい、とミファーちゃんに言うドレファン王。愛情を感じますね。

 そんな親子愛を前にゼルダは顔を曇らせるのだった……。

 

 しかし一番喜んでるのはミファーちゃんですよ。

 大好きなリンクくんと、一緒にハイラルを救うための冒険が出来るんだから……。

 

 ハアハア、リンクくんと一緒に冒険出来ることになったミファーちゃんの気持ちを考えたら動悸と息切れがしてきた。

 たまらねえ。たまらねえぜ。

 

リンクくんは興味無さげな素振りをしてるけど、やはり他の誰に対する距離感とも違う親しさをミファーちゃんに持ってるんだよな。

もしかしたらリンクくんも自分の気持ちを表に出すことを制していたり、あるいは苦手なのかもしれない。

ただでさえゼルダ姫お付の近衛騎士だしね。

キャリアの途上にあって、常と同じ感情でいられない男もいるんですよ。

 

僕はキャリアに興味無いからちょっとそういうのないけど……。

 

別に二人がくっつかなくてもいい。この距離感のままずっと平行線でもいい。それは二人にとって居心地のいい関係性だろうし、その関係性を進展という形で破壊する必要はない。

 

しかしこの二人の間に当て馬を挟み込みてえな……このままの関係でもいいかも……とか考えてるミファーちゃんを焦らせて暴走させてえ。

悪い方向に絶対にいくと思うんだよな。

リンクくんに我儘を言ったり、思いの丈をぶつけたりは絶対にしないと思う。

代わりに自傷したりとか当て馬に怨みを抱いたりとか、そういう方向性にいくのに違いないんだ。

僕はくわしいんだ。

やべー女検定二級級持ってるからな。

 

たまたま精神的に不安定だったりする時にインパとかと楽しそうに話をするリンクくんを見て、「やっぱりリンクはハイリア人がいいんだ……」とか言いながら自分の鱗剥いでそうだし(やべー女検定三級頻出問題の応用)、リンクくんが美味しそうな顔した料理をずっと同じものばっかり作ってそうだし(同検定四級基本問題)、リンクくんの食事に自分の体から出たものを混ぜたりしてそう(同検定三級)。風邪ひいたリンクくんの看病を甲斐甲斐しくするものの、心の中で一生風邪治さないでという気持ちが勃興してきてその気持ちを否定するために自分を痛めつけたりしてそう。いつも自分の中の独占欲から来る邪な気持ちと、自分の理想とする自分の間で苦しんで自分を追いつめてそう(同検定二級の2015年度論述試験で出題)。

 

しかしながらミファーちゃんは幸せの受容器がぶっ壊れてたり、愛情を実感できなかったり、環境に問題があるわけではない。

お父さんに愛されてるし、かわいい弟も居て慕ってくれているし、家庭環境も頗る良好だから実際やべー感じになるかというと、実際のところその可能性は低そうなのだ。

そんなことは判っている。だが判るわけにはいかんのだ!

 

僕は片思いしながらどんどん狂っていくミファーちゃんが見たいだけなんだ。

リンクくんと一緒に冒険する幸せが手に入って、一つ幸せを得たらもっと幸せが欲しくなっていって、でもミファーちゃんの幸せを入れる袋には穴が空いていて……。

どんどん重たさが増していって一緒にいるリンクくんまで潰れちゃうような、そういうのが見たいだけなんだ。

ちょっと内向的な女の子が恋心で身を焦がしていき、理性をも燃やしてしまって倫理から足を踏み外すシチュエーションが好きなだけな、いたって善良な精神性から来るプリミティブな欲求がちょっとあるだけなんだ。

誓って本当にやべー奴は僕だったとかいうそういう話ではないんだ。わかるね?

 

この先、「厄災の黙示録」がこの二人の道行きを如何に丁寧に描いてくれるか、非常に期待しています。

最悪「厄災」っていうのがミファーちゃんのヒスだったとしても、丁寧に、抒情感たっぷりに描いてさえくれれば何も文句言わねえからさ……。