かぜはく電脳曼荼羅

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あのあれまとめ3 セッション3 ワイナリーにおける人的要因

ワイナリーにおける人的影響

醸造のはなし〜
ブドウの持つ糖分は発酵すると化学変化でアルコールになるわけなんだが、糖分をすべて使う必要はない。

目安として、アルコール10%のワインを作るには170g程度の糖分が必要となる。
糖分16gにつきアルコール1%UPする。

 

果皮の部分から風味が出る。風味のもとになるものが入っている……それが何かって言うと秘密なのですがアントシアニンパワーです。
酸→リンゴ酸 酒石酸が出る。
種子からタンニンを抽出すると苦い油も出る。
圧搾するときに種子を潰さないことが必要。

 

白ワインの醸造基本工程

ブドウ

除梗と破砕

圧搾(やわらか〜く潰す)

ジュースになる

アルコール発酵

新しいワイン

ブレンド(タンクごとや品種など)

熟成

ワイン完成!


さいしょのブドウ処理
怖いのは酸化!!
ナイトハーベストのいいところは、ブドウが冷たい状態で収穫できる
温度が低いほうが化学反応が起きにくい。酸化しにくい。

 

みんなワーワー言う添加物、

亜硫酸の役割
1.防腐
2.酸化防止


全房発酵(ブドウ房まるごとの発酵)すると茎がクッションになるので柔らかい圧搾になる。

フリーランジュース→圧搾してすぐでてくるやつ。フェノール類がよくでてる。
プレスジュースはプレスしてぎゅっとなってでてくるやつ。

 

補酸
マスト強化とシャプタリザシオン(補糖)
精留濃縮ブドウ果汁(RCGM)や糖分を補う→アルコールを強化するため。
ブドウ由来でない糖分を入れる場合はシャプタリザシオンと呼ばれる。
RCGMを入れる場合はマスト強化という。

試験では何が足されるか、なんのためにされるかが出るぞ!!!

 

ワインの調整で大事なのはワインのバランスを崩さないようにすること。

サッカロミセス・セルビシエ(他の酵母よりアルコールと亜硫酸に強い)くんがワインを作る酵母
亜硫酸はいろんな酵母を殺しちゃうのだが、サッカロミセス・セルビシエは亜硫酸とタイマン張って勝つ。

 

天然酵母
ワイナリーにあるもの
サッカロミセス・セルビシエは店で売ってる。天然酵母は野生のやつ。
複雑性が生まれるがどうなるかわからん。巻き方を忘れちまったからな……。

 

培養酵母
風味が均一で結果が予測できる。

天然酵母はアルコール10%とかで死んじゃう。
サッカロミセス・セルビシエは最後まで生き残り、普通にやっても13%までいく。
昨今のアルコール15%とかのやつもサッカロミセス・セルビシエが超頑張っており、限界ギリギリまで行くと16まで行けるらしい。

 

アルコール発酵
重要なのは温度!!酵母は生き物なので5℃未満では酵母動かない。
35℃以上でも止まっちゃう。、ちょっとだけ根性なし。

温度が低いと花の香などのエステル香が生きてくる。
温度が高いとエステル香死ぬ。
温度上がると抽出力UP。
タンニンとかたくさん出る。

 

不活性醸造用容器

ステンレスタンクとかコンクリートタンクみたいな密閉できちゃう容器のこと。
発酵初期に必要なのは……酸素!!!酸素がないと酵母が元気にならない。
不活性容器は酸素の調節がしやすい。
嫌気的な発酵ができる。

プライマリアロマ(第一アロマ)を活かしたいときは不活性容器が有効。


オーク樽
酸化的醸造ができる容器。
タンニンや骨格が与えられる。質感が変わる。
オーク由来の風味がつく。トースト、ヴァニラ、ココナッツ、スパイス。

当然空気と触れまくって交わりまくり、テニサーの飲み会みたいになってるのでプライマリアロマが飛びやすい。
衛生管理大変!カビ付きやすい。
悪い酵母がつく可能性も。(ますますテニサーの飲み会みたい)
イオウを樽の中で燃やす……燻蒸して殺菌することで樽をきれいにするのだぜ。

 

ヨーロッパ酸樽はヴァニラの香り
アメリカ樽はココナッツ
水密性もぜんぜん違う!

価格は(1ユーロ153円で計算)
アメリカ産300~600ユーロ 日本円で45,900~91,800円
ヨーロッパ産600~1200ユーロ 日本円で91,800〜183,600円

いやたっけーーーーよ。ゲーミングPC組めるじゃん。

樽も1個だけ買うとかそういう話ではない。

焼く温度と焼き加減で影響も変わる。


樽の効果
①風味を与える→代用できる(オルタナティブ) オークチップを放り込んどけばとりあえず風味は付く。
②味わいと質感を良くする→代用できない。

微酸素処理……不活性容器でもちょっと酸素いれることで酸化熟成効果を得ることもできる。

 

発酵時の主要オプション
スキン・コンタクト
プレスする前にグチャグチャの果皮にジュースをつけっぱにしとく。
アロマ成分がよく出る。ゲヴェルツとかよくやる。
でも温度低く保たないとアルコール発酵始まってしまう。15℃以下でやろう。
期間は4時間から長くても一日。

オレンジワインなら2週間とか3週間スキン・コンタクトしとく。

 

・清澄化
プレスしたジュースはよく見てるワインみたいに透き通っておらず、すごい相当(明治の文豪的副詞用法)濁ってる。茶色くてドブみたい。
濁ったジュースは1日放置したらオリ、果肉、細胞片が下に落ちる。上だけ掬う。→清澄化完了!!!
沈殿だけじゃなくてろ過、遠心分離する作り手も。日本酒でもやるよね。


12~22℃で発酵できる。17℃以上で発酵するとエステル香は弱くなる。

発酵容器の選択。


マロラクティック発酵→ソムリエ協会はよくマロラクティック発酵って言うのだが、実際には発酵ではなく転換なので、厳密に言うならマロラクティックコンヴァージョン。発酵はしとらん。
アルコール発酵後起きるイベント。
ワインの中のリンゴ酸を乳酸に変える。

MLCの効果
①酸味が減る。
②風味を与える(バター、ナッツ)
③口当たり柔らかくなる。

 

冬なら温度上げて乳酸菌を足す(足さないこともある)。

 

MLC起こしたくない場合
フルーティさを活かす場合、MLCはいらない。
温度下げると乳酸菌は生きられない。SO2入れたら乳酸菌死ぬ。
ろ過したら乳酸菌いなくなる。


沈殿物……酵母の死骸=粗い澱。 こいつは絶対取り除く!!!不要
熟成の段階で見えるちっちゃい酵母の死骸……細かい澱。 熟成時残す 有益!

澱引きしないワインってのあるけど、それは細かい澱の話。

 

細かい澱でビスケット、パンのような香り 自己消化の香りという。あえて残しとく。

こういう香りがいらない場合はこまめに取り除く。

 

細かい澱のもたらす恩恵
①口当たり柔らかくなる。
②酸化からワイン守る。 還元状態になる。 シェリーやシャンパーニュなど。
酵母の自己消化による風味。

 


赤ワインの醸造基本の流れ

ブドウ

除梗 破砕

アルコール発酵(アルコール発酵前、あるいは発酵中、発酵後にマセラシオン(抽出))

圧搾

新しいワインかんせい!

ブレンド

熟成

ワイン


アルコール発酵前のマセラシオン

アルコール発酵はさせない=低温浸漬のこと。

色素とアロマを引き出す。タンニンは出したくない。タンニンはアルコールにとけちゃうため。

 

発酵中のマセラシオン→発酵容器の中は二酸化炭素がいっぱい!

果房(固形物)が上の方にいっぱい!!果房管理(キャップマネジメント)をして抽出する。
・パンチングダウン(ていねい) 棒で果房を下に衝く。
・ポンピングオーバー(しっかり抽出したいし生産量が多いとこ)ポンプで下の方のやつを上の方にドバァ。
・ラックアンドリターン(最終奥義)発酵中の液体を別の容器に抜き取り、再度果房の上に送り戻す。天地返し。

 

発酵後のマセラシオン(抽出)
まだ抽出たりねーなーってときにやる。
タンニンの質を高める。

カテキン(小さいタンニン)
アントシアニン(でっかいタンニン)

重合してタンニンをなめらかにするのが発酵後の抽出。

果房、上に浮いてきて乾燥すると腐敗しちゃうので突き崩す必要がある。


熟成
主要なオプション
・熟成させない
・中期〜長期の熟成

不活性容器で熟成は基本させない。熟成しないし意味ないから。4ヶ月容器の中においといて出荷とかが多い。

酸化容器では6ヶ月がピークとされてるが、それ以降になると更に酸化のニュアンスがでてくる。
まあやっぱ高品質なワインはオーク樽が多いですよ。
熟成に耐えられるタンニンがないと出来ない。強靭なブドウ、ワインでないとオーク樽に負けちゃう!


ブレンド
なんのためにブレンドするのか
・バランスをとる
・一貫性……単一キュヴェとか。
・スタイル……シャンパーニュとか。
・複雑さ……ボルドーとかの。要素を混ぜて複雑性を高める。
・価格……1000円のワインの区画と、10000円のワインの区画をまぜて3000円のワインつくるぜー!


清澄化処理と安定化 

熟成のまえ、ボトリング前にやる。
・沈殿法 
・清澄 清澄剤いれる。 不純物が結合して沈みやすくする。
・ろ過
 ・深層ろ過 荒い
 ・膜状ろ過 徹底的にろ過 不純物だけじゃなくバクテリア 酵母もろ過するぜ→清澄と安定効果。 無菌ろ過ってのもある
・安定化
 ・酒石酸 酒石酸の石質化を防ぐ
 ・微生物 増やさないようにする 無菌ろ過 ワイナリをきれいにする(ワイナリの仕事の9割が掃除)亜硫酸いれる列島
 ・酸素 酸素大敵!いれないようにする。ボトリングラインに窒素いれて酸化しにくくする。

 

インテグラルヴィニフィケーション
発酵も熟成も樽でやる
例外。Integrate(統合)なのでホンダとは特に関係ない。

 

思うところある話

清澄化について。

やってもいいしやらなくてもいい。安定化につながる清澄はリスクヘッジとしてあることは当然だと思う。

清澄化もろ過もしない生産者もいるし、ろ過においてはしすぎないほうが本来の味わいであると言える。

じゃあなんで清澄化すんの?って話なんですが、ある側面では消費者心理のためみたいなところがある。

ワインに沈殿物あんのやだよー!不良品なんじゃないのコレ!みたいな。

清澄をバキバキにやりまくるワインは安いワインが多い。アラビアガム(ビタミンC)入れたり、メタ酒石酸というやつを添加して沈殿物をまとめて取り除きやすくしたりする。

ここにやばい螺旋が生まれる。安いワイン買ってバックラベルみてキエエ!添加物入っとる!!!亜硫酸塩!!みたいな人種は亜硫酸塩ってなんだろう?どれくらいの量接種したら人体に影響あるんだろう?そもそもなんで入れんの?どの国のワインにも入ってるけど入れる必要があるの?法律で定められてる量は?他に同じものが含まれている食べ物は?とか基本的に気にせず、脊髄反射的にキエエエ!!添加物!キエエエ!沈殿物!!!となるために、酸化防止剤無添加ワインとか沈殿物を除去するために入れなくてもいい添加物を入れたりする。

そういうヤベー消費者を相手したくないために添加物を入れることが、また別のやべー消費者のキエエポイントに触れる。

 

ですので、亜硫酸塩はSO2(二酸化硫黄)ということを踏まえていただいた上で空気中に普通に存在しており、生えてるブドウに自然につくし歩いてりゃ服にも顔にも鼻の穴にもつくし、普段食べるコンビニ弁当、タピオカ、こんにゃくにもたくさん入っていることを留意いただき、なおかつ日本食品科学研究振興財団がまとめた資料(令和5年7月26日までの基準)では果実酒に含まれる亜硫酸塩は0.35g/kg未満と定められており、これはかんぴょうの亜硫酸塩含有基準量(5.0g/kg)のたった7%の数値であることを承知した上でゴチャゴチャ言っていただきたい。

ワインの亜硫酸塩が体に悪いとかいうやつは一生かんぴょう巻きなしの人生を送ることになることをご理解いただきたい。

想像してほしい、かんぴょう巻きなしの人生を。